AK47
性能:

全長     870mm
銃身長     415mm
重量      4.30kg
使用弾薬 7.62mm×39
装弾数      30
連射速度  600発/分
初速      710m/s

左はAK47のメタルストック型
のAK47S。
これは東京マルイ製の
電動エアガンです。

撮影協力
ホビーショップ コスモ
 1941年6月22日。ドイツは独ソ不可侵条約を破り一方的に侵攻した。バルバロッサ(赤ヒゲ)作戦と呼ばれたこの侵攻作戦はそれまでの侵攻(1939年9月1日のポーランド侵攻作戦”ファル・ヴァイス(白の場合)”と1940年5月10日の低地諸国とフランス侵攻作戦”ファル・ゲルプ”の2つ)の集大成といえた。300万人の兵士が一斉になだれこんだのだ。その戦闘で負傷したミカイル・ティモフェイェビッチ・カラシニコフという戦車兵軍曹は敵のドイツ軍が多数のサブマシンガンで敵を圧倒していたことから同種の銃器の必要性を痛感していた。それとは別にソビエト側も既存の自動ライフルは装填不良を起こしやすくまた反動が強いので連射には不向きであったためか知らないけど、薬莢を短くしたタイプの銃弾を開発しており1943年に7.62mm×39弾(1943r7.62mm×39)が完成した。あとは銃本体である。新型銃の開発が開始されその中には戦車兵軍曹のカラシニコフも含まれる事となった。

 第二次大戦の戦訓で、連射能力に劣る、ただ遠距離射撃能力を要求されているボルトアクションライフルは今後の歩兵戦闘には適さないと考えられた。第一次大戦以前から存在したボルトアクションライフルは1000m以上の一団を形成した敵部隊への攻撃用で、近距離射撃には向かなかった。向かない理由の1つに命中精度の悪さがある。別にボルトアクションライフルの命中精度が悪いわけではない。むしろ自動ライフルよりかはボルトアクションライフルのほうが命中精度はずっといい。なぜ悪いかというと、戦争における標的は紙ではなく人型のベニヤ板でもなく本物の人間だった。まともな人間なら生きている人間を狙う(殺す)には普通の神経ではできないからどうしても標的をそらしがちになる。たとえば銃殺刑の際に12人で1人を撃つ際、12人の中に「俺以外のヤツに撃たせるのは弾の無駄だ」と豪語した射撃の名手がいた。その要求は聞き入れられなかったが、30ヤード程度しか離れていないのに、その名手を含めて誰一人として心臓に命中させることができなかった。しかも半分は人体に当たりさえしなかった。動かない人間相手でさえこの心理状況なのだ。決定的な命中精度の悪さとして相手も撃ち返してくることにある。ようはこっちも死の恐怖と戦いながらの射撃なのである。そんな心理状況で一発必中をを期待するほうが無理だと言える。一説には平時の3分の1以下に命中精度が下がるといわれている。ではどうすればいいか?。答えは簡単。同一目標に3発撃てばいいのだ。ただ、3点バースト射撃機構は銃本体に組みこむのは出来るにせよ複雑になる。複雑になるということはメンテが大変で、また壊れやすくなるという道理になる。今では3点バーストを組みこんだライフルも存在するが、組みこんでいないライフルも多いのは、やはり数多くの兵が扱う関係上少しでも単純構造にしたいという思惑もある。射撃訓練でバースト射撃のコツは覚えこませるという方法が各国でとられている。

 さて、話は戻して、開発はいくつかのチームで行われたようで今までに自動ライフルを作っていたシモノフ氏は1945年に(1946年という説もある)SKSというセミオートライフルを完成させた。しかしフルオート射撃はできなかった。やはりソビエト軍はバースト射撃能力(フルオート射撃)ができるライフルを欲した。

 遅れてカラシニコフは1947年に試作型ライフルを開発。1949年に制式採用された。これは俗にAK47T型と呼ばれる。外見上では後の量産型と異なっている部分はあまりない。排莢口下部の溝がない点が外見で大きく異なっている。細かい点をいえば、グリップがプラスチック製なのと、機関部がプレス加工でできている点が違っている。

 1950年から1951年にかけて改良が行われたのがAK47U型で、外見上での違いは、本体部の弾倉上部あたりに溝を設けている点にあった。ストックを1本のピンで簡単に取り外し可能にできるようにした点と、レシーバーをプレス加工から手間のかかる削り出し加工に変更した。後のAKMではまたプレス加工になっているが、なぜこのような変更を行ったかは分からないが、耐久面での問題ではなかろうかと考えられる。削り出し加工は1つの金属塊からいろいろな工程をかけて削り出すので手間はかかるが、射撃消耗をしても変形が少なくなるという利点がある。また、プレス加工は金型が必要で大量生産しないと採算が合わないのと油圧プレス機械が必要になるのでそういう設備がない工場でも作れるようにしたのではないかと考えられる。1940年代後半のソビエトではまだ工業能力は戦前のレベルに回復しておらず、削り出し加工ならボルトアクションライフルを作れる要領で作れたためそうした方がいいと考えたのだろうか?。些細な点だが、グリップがプラスチック製から木製に変わった。どういう理由かはわからないが、持ちやすいからだろう。プラスチックと木製のグリップを持ち比べると分かるが、特に汗をかいた際の持ちやすさは木製が圧倒的に上でプラスチック製は(いくらすべり止めのチェッカリングがあるとはいえ)滑りやすい。ただ、木製は製造に手間がかかるため、今現在、木材を使う軍用ライフルはほとんどなく、新規で作られるライフル素材として使われることは無くなった。

 1953年にはさらに改良が行われた。排莢口の前方にあった強化リブがなくなり、ストック基部が元に戻されも取り外し不可能になった。ストックを取り外せてもあまりメリットがない事とストック基部は射撃時に反動を受け止める所なので強度的にマイナス面があったのだろうと考えられる。このタイプはAK47V型と呼ばれ、一般にAK47といわれるのはこのV型である。
 以上の3つの種類は外見上ではほとんど変わらず、遠くからの写真では識別が難しいほどで、初めから完成度が高かったと言える。

 AK47のセレクターは後ろから見て右側面についている。大抵のライフルは左側面についているのだがこのセレクターはセフティーにしたときに内部をカバーするようになっているので右側面にしたのだろう。このセレクターを半分下げるとフルオート、下げきるとセミオートになる。これも人間工学的にはどうもおかしいような気がしないでもないが、内部構造の問題でそうならざるを得なかったのだろうか?。とある本には「右側面にセレクターがついているので左手で銃器をかぶせるように操作し・・・」とここがAK47の欠点と書かれているのを見かけるが、実際に操作する分には銃を構えた状態では肩と左手で銃が固定されているので、右手での操作はしやすい。上記の記述はM16など親指で容易に操作できるような構造ではないという特記だろうと思う。セフティーがかかっているか否かが外見上でも容易に認識できるという利点もある。これは後々まで同じ構造が使われているので、使用上での欠点はないのだろう。

 AK47はシンプルな構造でタフな設計なため、戦場での信頼性は格段に高く、クリーニングレスでも十分に作動するといわれる。また泥水に浸けた直後でも撃てるという。そんなAKにもいくつかの欠点がある。まずは上で述べたセレクターの問題と、照門(後ろの照準器)にカバーがないので壊れやすい点が指摘されている。エアガンならともかく、実銃のAK47はかなりしっかりとしていて、ガタは全然ない。よほど乱暴に扱わない限りは壊れないだろう。また、照門がボルトアクションライフルのように100m単位での設定方式となっている。大抵の兵士は200m程に合わせているという。たしかに、それ以上の距離なら照準を合わせ直す時間は十分にあるから。
 また、ホールドオープン装置がない。ようは弾切れを知らせる装置がないという事で、さほど欠点とは思わないかも知れないが、戦場で戦闘後の行動で不意に敵が現れて射撃しようと思ったら「カシーン!」とボルトが落ちる音しかしなかったとかいうのはありえそうな状況である。普通はフルオート射撃はしないから、薬室に弾薬があるないを知るのは重要な事といえる。目の前の敵を倒さないとこっちがやられる。というせっぱ詰まった事態が戦場ではよく起こり得るだろうから。また、弾倉(マガジン)がやや長く、伏せ撃ちが少しつらいというのも欠点と言える。まぁ、このおかげで30発というたくさんの容量が入るのだから諸刃の剣とも言えなくはないし、普通に伏せる状態ならば、弾倉がくっつくことはない。しかし、塹壕に篭った状態での射撃では苦労するのではないか?。AK47の最大の欠点はストック(銃床)部分の構造で、まっすぐではなくやや下方に斜めになってる。これはボルトアクションライフルのストック形状をそのまま真似た結果と思われるが、これが、フルオートの射撃精度低下の原因となっている。単発のボルトアクションの場合は反動を上方に逃がすために、下方にストックをまげておく事によって反動をそらす働きをしている。フルオート射撃ができるのAK47はこれがアダとなり、最初の1発以外は銃口が跳ねあがって目標に命中させるのは難しいという。そのためこの改良型のAKMはストックをまっすぐにして銃口部分にも加工がほどこされている。
 
 当初この銃はAKと呼ばれていたが、改良型のAK(AKM)が現れたため区別する為にAK47と呼ばれた。

 AK47のバリエーションは、諸外国で生産されたのを含めるとやたらと多く全てを網羅するのは不可能なのでソビエト本国のみ限定すると、まずは折りたたみストック型のAK47Sがある。この折りたたみストックはドイツのMP40を想像させる回転式だが、MP40と違う点は折りたたんだ状態と伸ばした状態でロックするという点で、ロック解放ボタンを押しつづけないとストックが折りたたみできないMP40と違って迅速にストックを伸ばすことができる。しかしその代償として、ガタがきやすいという欠点があった。AKMの折りたたみストックバージョンは同じ回転式だったが、AK74の折りたたみバージョンからは横に折りたたむようになった。

 AK47の信頼性の高さに部品点数の少なさもあるし分解掃除のしやすさもある。
 分解はまず、弾倉を取り出して安全装置を解除してボルトハンドルを引く。引ききってから薬室を確認して薬室に弾が無い事を確認する意味合いが強いが、ハンマーをコックしておく意味合いもある。その後に機関部後端の機関部ボタン(レシーバーデッキロックボタン)を押しながら機関部上のカバーを外す。そしてリコイルスプリングを注意しながら引きぬいて、その後でボルト部分を一旦引いてから持ち上げると機関部は外れる。ちなみに、AK47の機関部はボルトとボルトキャリアー(ガスピストンに伝わった力をボルトに伝導する部品)は当然分解できるが(分解できないならオープンボルト式の銃と同じだから)、ボルトキャリアーはガスピストンとコッキングハンドルが一体型となっている。作るのが手間だろうし、壊れたらどうしようもできないという欠点はあるが、部品点数が少なくなるし、各個に部品を摺動させるよりかは信頼性はずっといい。この仕組みは新型のAK74まで受け継がれている。銃身上方のガスシリンダーは照門前方にあるロックレバーを上にあげると簡単に外すことができる。普通はここまでやれば掃除するには十分である。
 クリーニングロッドは銃身下に付属している。このままでは使えず、ストック内に収納されている工具類を付け足してから掃除を行う。ストック内の工具はクリーニングロッド棒に取りつける柄とブラシ類、またドライバー(マイナスドライバー)として使える部品もあり、それなりに汎用性はある。
 AK47はクリーニングレスで撃てるといわれる。たしかに、長い間地中に隠されたAK47を試し撃ちしたらちゃんと撃てたという話もあるが、快調な作動を望むなら、また、戦場で銃の故障で死にたくないならちゃんとしたクリーニングが重要なのは無論である。

 AK47の弾倉交換方法はM16系列のように弾倉受け(マガジンハウジング)にいれて押しこめばいいというものではなく、銃の弾倉受け部分の前の引っ掛けに弾倉の先端を引っ掛けて回転させて装填する方法をとっている。この方式はドイツのG3系列やFALと同じで、弾倉受けが要らないのでその分重量を(若干)軽くできたし、ガッチリ固定できるという利点がある。また、外すときも結構簡単確実にできるし、空弾倉を地面に落とさずに済むという利点も大きいだろう(歩兵用ライフルの弾倉は使い捨てではなく、射撃後に空になった弾倉はまた弾倉入れ(マガジンポーチ)に戻す)。ただ焦ったときに上手く装填しにくいという欠点もあるから功罪は微妙といえる。
 ちなみに、AK47のごく初期型の弾倉にはリブ(シマシマの補強)がほとんどはいっていなかったが、何かにぶつけたときにへこんで弾が上がらない欠点が指摘されたのか、リブを大量に入れるようになった。