G36
性能:

全長       990mm
(ストック伸縮時  758mm)
銃身長      480mm
重量       3.30kg
使用弾薬 5.56mm×45
装弾数        30
連射速度   750発/分
初速       920m/s

左絵はひらだいらさんからいただきました。

下の写真はポチ校長さんとnonさんからいただきました。

バリエーション情報はP90大好きさんから提供してもらいました

ほんとにありがとございます
≦(_ _)≧
↑G36側面写真
 ドイツは大規模戦争で初めて突撃ライフルという新ジャンルの歩兵用ライフルを投入した国だった。しかし敗戦が全てを変えた。結局、戦後は兵器体系がアメリカ軍になり、独立を果たし、NATO入りを果たしても、弾薬はアメリカ軍に準じたものとなった。7.62mm×51弾(.308ウィンチェスター)という強装薬弾薬使用を要求してきたアメリカ軍はイギリスなど弱装薬を主張してきたNATO諸国などを強引に押し切ってこれを採用した。火力(ようは連射能力)重視でいきたかったこれらの諸国は不満があったものの、決まったからには仕方がない。各国でこの弾薬を使ったライフルが作られた。ベルギーではFN FALがドイツではG3が作られた。どちらも、フルオート時のコントロールが難しく反動も強かった。特にFALはフルオート射撃が実用的でないという理由でこれを採用した国ではフルオート機能を取り外した所もあった。

 やがて、NATO弾薬も小口径弾である5.56mm×45弾(SS109)が採用された。NATO諸国では次々とこの弾薬を使用したライフルを採用していったものの、ドイツではG3のままだった。これには理由がある。ドイツでは新しい弾薬を使用した歩兵用ライフルを採用しようとしていたのだった。それはケースレス弾薬でこれを使うライフルもG11が作られた。ただ、結果は失敗でこの道は絶たれた。それでG3をそのまま継続使用していたのだが、これは時代錯誤も甚だしかった。実際、フランスとの共同部隊ではドイツ軍はフランス軍からFAMASを借用したりもしていた。とにかくドイツではこの5.56mm口径の歩兵用ライフルの採用を望んだのだったが、ドイツは東ドイツと統一し、経済的にも豊かではなかった。そのため、東ドイツで採用していたAK74を5.56mm口径に改造して使用してはどうかという案も検討された。これなら、生産設備も東ドイツにあるし、多少の設計変更で簡単に作れる。特に戦場での実績の面では申し分はなかった。しかしこれは否決された。伝統ある武器大国ドイツのプライドがそれを許さなかった。

↑HK33(上)とHK41(下)
 1993年9月1日。ドイツ国防軍は新正式の歩兵用ライフルのトライアルに着手した。要求内容としては、耐久性・作動環境温度が極端に高くても低くても作動する事・軽い事などが求められた。トライアルに参加した銃器は一説には十数種類にもおよんだという。この中には外国製ライフル(ステアーAUGなど)も含まれていたが、仮にこれら外国製銃器が一番満足な性能をもっていてもそれを採用したかは疑問が残る。「これよりもっといいライフルを作れ!」と国内メーカーにハッパをかけたに違いない。ある意味、目標設定のための参加だとも思える。
 さて、ドイツ国内のH&K社からはHK33(右写真上)とHK41(右写真下)とHK50が選ばれた。このHK50というのが後に採用名G36Eと呼ばれるライフルだった。ただ、最終トライアルに残ったのはH&K社の出した3つのライフルのうちでHK50だけだった。HK33とHK41はローラーロッキング採用の作動方式だったものの、この作動方式は5.56mm×45弾には適さなかったという理由がある。高速弾であるため、また、マズルエネルギーが7.62mm口径の弾と比べて小さいためにうまく作動しない事もある。また最大の要因として、このローラーロッキング作動はヘッドスペースなどの調整が必要で、少しでもズレてくると作動不良を起こす。HK50が採用していたガス圧利用式なら多少の誤差は許される。耐久性を要求してきたために、HK50だけが残ったと考えられる。結局、HK50が要求を満たし、正式採用された。ここにG36は誕生した。
 G36Eという名前だけども、その前のライフルがG3でG4からG35の間に何のライフルがあったのかはわからない。G11というケースレスライフルがあったけども、他は不明。

 G36は上で書いたように、作動機構はガス圧利用式とさほど目新しいものではないが、その外見は一目で区別つくぐらいにユニークな形状をしている。デカいキャリングハンドルが特に目につく。なぜこんなに大きくなったのかは分からない。ちなみに、この手のキャリングハンドルを採用しているのはアメリカのM16シリーズがあるけども、このキャリングハンドルは基地内移動では使われるが、戦場(演習場)では使われない。このキャリングハンドルの中にコッキングハンドルがある。これはAR10やFAMASと同じだけども、これらと違っているのは、ハンドルが左右に振れるという事で、これは右利き左利きどちらでも引けるようにとの配慮である。
↑G36の分隊支援火器タイプ(上)とカービンタイプ(下)
ドラムマガジンとジョイントした弾倉がよくわかりますね。
 ストックは上の写真を見てわかるように折りたたみ式になっている。G3の伸縮式ストックタイプはスライド式だったけども、この方式はコンパクトになるけども、ガタがくるから、賢明な選択だったといえるだろう。ストックには穴があいているけども、これは軽量化のためと、折りたたんでの射撃時に排莢の際に干渉しないようにとの配慮となっている。

 既存の歩兵用ライフルと決定的に違っている点は、照準器にある。普通のライフルは照門と照星を組み合わせて照準するけども、G36は3倍の光学照準器(ようはスコープ)を採用している点にある。もっともブルパップ式のステアーAUGやL85A1などでは見受けられるけども、G36が違っている点は補助の照準器がないという点がある。ステアーAUGもL85A1もスコープが壊れた際に、照準ができるように、スコープ上に小型のサイトがついているけども、G36にはそういうのが一切ない。H&K社のテストでは2m上から落としても異常なかったのだから、壊れる心配がないという事なのだろうけども、イザというときに不安ではなかろうか?。このスコープは3倍で、サイトは円がかかれていて、この円は400mで175cmに設定されている。175cmというのは兵士の平均身長で、これを使えば、敵とのある程度の距離がわかる。逆にこの円よりも小さい目標は射程外だと言う事になるのだろう。またこのサイトには移動目標用のスケールもある。このスコープは、世界に名高いカールツァイス社の作品で非常に明るく浮かび出す。このスコープの上にはドットサイトも搭載されていて、薄暗いところでも照準ができる。このドットサイト(メーカーではコリメーターサイトと言っている)は電池駆動式で、電池(どんな電池かは不明)1つで36時間連続で使えるという。ただ、ドットサイトは電池が切れたらアウトなので、電池の切り忘れ(ドットサイトは戦闘中以外は使わない)を防ぐために、オートパワーオフモードもついている。なお、このドットサイトは着脱ができる。

↑G36K。ストックを折りたたんだ状態
ストックの穴が排莢口にあっているのが
わかりますね
 G36は現代のライフルに漏れず、プラスチックを多用している。強度を必要とする機関部やバレルは当然金属だけども、ハンドガードやグリップや機関部外側などはプラスチックだし、トリガーやハンマーもプラスチックが使われている。ただ、ハンマーはすべてプラというわけではなく、補強で金属が入っている。同じくトリガー部分も、固定個所は金属の補強が入れられている。合理性を追求するドイツ人らしいといえる。プラスチックといえば、弾倉もプラスチック製となっている。しかも半透明で、残弾が確認できる。また、弾倉を連結可能なように、その仕組みも作られている。これはSG550と同じ仕組み。弾倉をプラスチックにした理由として、残弾確認を可能にしたかったことと、金属にするとヘコませただけで、給弾不良をおこすから、多少ぶつけてもヘコまないようにという理由もあった。弾倉はドラム式もあるけども、これは半透明ではない。
 バリエーションとしては、特殊部隊や戦車兵用にとのカービンタイプのG36Cや、輸出型のG36Eもある。また、分隊支援用タイプのG36もある