フェデロフM1916
性能:

全長         990mm
銃身長     480mm
重量      4.40kg
使用弾薬  6.5mm×50
装弾数         25発
連射速度   400発/分
初速         654m/s
左は自作です(^^;)
縦長で見づらいし、
上からの構図で見にくいすね(;_;)
 別に銃器に限った事ではないが、最初の一発目で出たものというのはあまり日の目を見ない事がよくある。たとえば、フランスの対艦ミサイルのエグゾゼミサイルはフォークランド紛争で大戦果を上げ、売上げを伸ばしたが、実際に最初に使ったのはイラク軍が対イラン戦争でだった。あと、軍事には関係ないけども、ストリートファイター2というゲームが大昔にスーパーファミコンやアーケードゲームで流行ったけども、肝心のストリートファイター1はあまり注目も感心もされなかった。以上余談。

 あまり目立たないが、第1次世界大戦で戦ったのはイギリスやフランスやドイツだけでなくロシアも参戦していた。当時のロシアの工業力はお世辞にも高いとは言えず、小銃の生産も需要に追いつかなかった。そのためスイスやアメリカに小銃の生産を頼んだりしてたし海外に技術員を派遣して武器の購入なんかもしていた。
 皇帝親衛隊員のフェデロフ大尉もそのなかの1人だった。フェデロフ大尉の目に止まったのは日本の38式の6.5mm×50弾だった。この弾薬は小口径が故に反動が少なく、フルオートライフルにぴったしマッチしてると気がついたのであった。もしかしたら日露戦争で、低進性がこの弾はいいという戦訓を知っていたのかもしれない。フェデロフ大尉は早速、この弾薬を使用した自動式ライフルの開発を行なった。
 かくして世界初の突撃ライフルは誕生した。しかし当時のロシアは革命へと動いており、その銃口はドイツでなくロシア社会民主労働党(後のソビエト共産党)へと向けられる事になった。1917年11月7日、ボルシェビキは武装蜂起を決行。この年の3月に成立した共和政府を打倒した(10月革命)。このボルシェビキ(赤衛軍、後に赤軍となり第2次大戦後にソビエト連邦軍となる)もこのフェデロフM1916の優秀さは認めていたようでこの銃を6000丁発注している。しかし生産は帝政時代の3000丁と合わせて約9000丁しか生産されなかった。たぶん、使用弾薬がロシア制式と異なるからだろうし、日本のシベリア出兵もからんでいたのかもしれない。余談ながらこのシベリア出兵は日本国民にも不評で、落語家が、シベリア出兵を、「シベリアしっぺぇ(失敗)」と言うと客が大笑いしたと言われているぐらいだった。以上余談
 そして、社会主義国家"ソビエト社会主義共和国連邦"が誕生。農業そっちのけで重工主義政策かはしらないが、工業力が発達しまくったがこのフェデロフM1916が生産される事はなかった。突撃ライフルは26年間の空白の後、敵国ドイツで出現した。これはフェデロフM1916には何ら影響は受けていない。ソビエト側もこのドイツの突撃ライフルを模範としてAK47を作りあげる事になった。
 フェデロフM1916は完全に闇に葬られる事になった。哀れ。

 フェデロフM1916は全長がわずか990mmしかない。当時のライフルは例外なく1mを越えていたのでこれは脅威的だといえる。銃身長さが480mmしかないのが影響しているといえるが、これは38式騎兵銃と同等の長さである。ようは騎兵銃をフルオートにした感じといえる。反動の小さい6.5mm弾の功績なのだろう。弾は弾倉に25発も入る。これも特徴なのだが、弾倉の前にフォアグリップがついていてフルオート時のコントロールを容易にしている。近接戦には有効だろう。ただ、弾倉とフォアグリップが近すぎて持ちにくいんではなかろうかという印象は受ける。ちなみに、AKでは弾倉チェンジの際のマガジンキャッチは弾倉後方に付いていて前に弾倉を回転させて弾倉を外すけども、このフェデロフM1916はこうするとフォアグリップと当たってしまうので、マガジンキャッチは弾倉前方についていた。これは操作しにくいんではなかろうかと思える。
 作動方式はオーソドックスなガス式だったけども、閉鎖方法は独自だった。閉鎖器はガス作動で後方に退くけど、一定距離退くと下方に落ちてボルトを解放する方式だった。この方式では部品が増えるため、現在ではあまり使われない。
 余談ながら、このライフル自体全長が短いけども、着剣ラグはついていた。独自の銃剣が制定されたの考えられるがこの形状については現在伝わってはいない。ちなみに、このライフルがソビエトでは初めて銃剣が着剣できるライフルでもあった。モシンナガンM1891は針型銃剣だった。さらに余談ながら、ソビエト軍の銃剣は着剣すると例外なく、刃が上を向いた。AKシリーズは皆そうだし、第二次大戦前のトカレフM1936の銃剣も刃は上だった。この理由は、銃弾発射時に銃剣の"みね"がガス噴流で銃弾に悪影響を与えるから、刃を上に向けてガス噴流を抵抗なく下に流すためといわれているが、実際にはよくわからない。このフェデロフM1916の銃剣が刃が上を向いたのか?。個人的に知りたいものではある。