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性能: 全長 868mm (ストック折り畳み時 634mm) 銃身長 467mm 重量 2.75kg 使用弾薬 5.56mm×45 装弾数 30発 連射速度 700発/分 初速 975m/s 左の写真はsigu-yaさんからいただきました。ほんとありがとうございます。 ≦(_ _)≧ |
スウェーデンという国は独自の兵器を作って配備している。戦闘機も戦車も自国で設計して生産して配備してる。その中にはSタンク等のユニークな兵器も多い。独自に開発・配備しているのとユニークな理由ははっきりとしている。あちらが攻めてくる・こないは向こうが決めることなので、軍備を怠るわけにもいかなかったし、仮想敵国はストレートにいえばソビエト一国なのだが、地理的にソビエト海軍の誇る原潜群でシーレーン防衛が破局し武器輸入が途絶する可能性は十分に考えられた。石油以外の資源は比較的豊富なスウェーデンでは自分で兵器を作るのが最善だったと言えた。また、スウェーデンは原則的に輸出しないので他国の用途に合わせる必要がないし、攻めていくこともないので、自国で使うことしか考えないからその地形・条件にあわせた結果、ユニークな形状になってしまうのだろう。 上の写真の銃はMKS突撃ライフルというもので、スウェーデンのインターダイナミック社という会社が作った。見れば分かるようにおおよそ歩兵用ライフルとは思えない形状をしている。ライフルというよりも短機関銃といった趣がある。MKSというのが何の略なのかはわからない。 ただ、スウェーデン政府から開発要請がなされて作られたというわけではなく、インターダイナミック社代表のシェルグトンという人が個人で設計を行った。実際の開発の意図は良く分からないが、シェルグトン自身はスクバーナ造兵廠(スウェーデン)や南アフリカの国防研究所で働いていた時期もあり、「技術も知識もある俺なんだ。何かとっぴでもない銃を作ってやるぜ!」と考えて作ったんだろう。としか思えない。 このライフル自体、スウェーデンに売りこまれたかは分からないが、見た目でわかるように採用されることはなかった。スウェーデンは平和を掲げる国家でもあるために、このライフルの売りこむことを禁止したのは無論の事、ライセンス生産権の販売も禁止した。発表当時は銃器関係者の注目を集めはしたが、結局、このMKS突撃ライフルは日の目を見ることなく、銃器史の中に埋もれていった。 このライフル自体、M16A1ライフルの6割程度の値段で作ることができたと言われ(事実ならば、今の価値でいえば5万円ほどになる)、折りたたみストックを畳めば634mmとコンパクトに纏めることもできた。特に装甲兵員輸送車や歩兵戦闘車というジャンルの兵器がハバを利かせてくるとコンパクトに纏められるというのは大きな利点だったといえる。狭い車内で急速に展開を行うには、ライフルが長いとジャマなのは容易に想像がつく。歩兵戦闘車でなくとも、最近の兵隊はいくら「歩兵」と歩く兵だと呼称しても、また発展途上国だろうとトラックでの移動が主体になると、なおさらコンパクトにできるのは利点だったといえる。 ただ、このMKS突撃ライフルに限っていえば、明らかに失敗作だったといえる。上の写真を見ればわかるように弾倉をグリップに入れる方式であるが、9パラのUZI短機関銃ならともかく、5.56mm×45弾のライフル弾の弾倉をグリップに入れるのである。考えただけでも持ちにくいのが分かるだろう。持ちにくいだけならまだいいが、ちゃんと保持できないという事は射撃にも影響する。ライフルはしっかり握れないと引き金が上手く引けないし命中精度にもモロに影響を及ぼす。いくらフルオートが可能な突撃ライフルだとはいえ、実際のフルオート機能はバースト射撃をするためにある。ようは精密射撃をより確実にするためなのだ。また、伏せうちが難しいのは容易に想像がつく。その状態での弾倉交換は不可能に近かったろう。このMKSみたいに明らかに映画の兵隊みたいにバンバン撃ちまくる銃は軍隊ではお呼びでない。ある意味、作った人間は「歩兵は走りながら銃を乱射して敵をバッタバッタとなぎ倒す」とでも思っていたのだろうか? 「射撃しなければ理想的なライフルだった」という評価が似合いそうな気がしなくもない。 |