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性能: 全長 990mm 銃身長 450mm 重量 4.40kg 使用弾薬 7.62mm×51 装弾数 20発 初速 700m/s 発射速度 500発/分 左自作絵です。 演習中は銃にテープを貼るのは 自衛隊の伝統ですが、その理由は 「部品の脱落防止」 だとのこと。 銃把や銃床に貼る意味がわからない。 銃把が脱落するとでもいうのだろうか。 |
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当時の警察予備隊の装備は米軍装備のM1ガーランドライフルか日本陸軍の遺物の99式小銃であった。自衛隊に変わってもしばらくはこれらが使われていた。1950年代末にアメリカはNATO標準弾を7.62mm×51弾に変更し、アメリカ軍ライフルもそれ用のM14自動ライフルを装備した。日本もアメリカの同盟国である以上は変更を必要とした。当初、アメリカの要望もありM14を装備する予定であったとも言われている。たしかにM1ガーランドとほぼ同一形状なので訓練もさほど必要とはしないからだろう。しかし、日本の豊和工業は「日本の護りは国産のライフルで」との考えから、独自に開発を進めていた。日本側も自国は敗れたとはいえかつては世界に冠たる軍事大国でもあったし、陸海空の全ての兵器を自前で設計製作して戦場に送り出していた一流の国家だったのだ。たとえ敗れてもその誇りまでは捨てたくはない。日本政府側もそういう考えがあったのだろう。豊和工業の試作銃はR6Aと命名され、このR6AはM14ライフルと比較試験が行われたが、すべての面でM14に勝っているという事がわかり、昭和39年10月6日、東京オリンピックの4日前に当時の西暦をとって64式7.62mm小銃と命名され自衛隊に制式採用された。
しかし、欠点もいくつかある。まず、これは今の自衛隊兵器すべてに共通して言えるのだが、単価が高い。64式小銃は14万円。銃剣付きで15万円で自衛隊に納品されていた。他国の主力ライフルは10万円を超えることはまずない。ちなみにアメリカのM16A2ライフルが580ドルほど(2001年現在)ですでにこの時点で倍近い価格差がある。日本の兵器は輸出しないし、競争もないからメーカーの言い値で買わされるのでこういった高い値段になるが、なんかもったいないような気もする。ちなみに、この14万円という値段が昭和39年当時なのか89式小銃が採用される直前の昭和63年のものなのかはわからないです(涙)。 しかし、結局64式小銃は実戦に使われないまま89式小銃にバトンタッチしたため、実戦での評価はなく、ただ机上の評価・・・最高の評価・・・のみを得た。兵器は使われたか使われなかったかで明暗が分かれるが、64式小銃は使われなかったから評価が高かったという意見もある。たしかにそうかもしれない。しかし、昭和39年から今まで日本は1度も攻められる事はなかったので64式小銃は立派にその任務を果たしたといえるだろう。 64式小銃は採用されてまもなくして、性能が最高にいいという事でとあるアラブの産油国から買いつけに来たという噂がたった。真偽の程は不明だが、それなりに他国にも評価はなされていたといえるだろう。
64式小銃は2脚(バイポット)と床尾上板(ショルダーレスト)がついている。これらは機関銃にはついているが、歩兵用自動ライフルに標準でついているのはこの64式小銃だけといえる。これは設計者がアメリカのBAR軽機関銃を意識してつけたと言われている。バイポットはたしかに射撃の際にはいいアシストになるが、個人的な意見では持ち歩く際に余分な重量となるので、取ってしまいたいと思う人もいるんではなかろうか?。ただ、射撃の際はバイポットがあったほうが狙いやすいしよく当たる。ショルダーレストは歩兵用で採用することはほとんどない。理由は機関銃など連射で撃ってナンボの銃器ならともかく、単発ないしバースト射撃が主体のライフルではあまり意味をなさない。実際、64式小銃の後継の89式小銃ではバイポットはつけられたがショルダーレストはつけられなかった。 コッキングハンドルは機関部上面にある。そのため左利きの射手でも問題無く操作できる。エジェクションポートは上面にガッポリ空いているのでジャムる心配はないだろう。ただ、エキストラクター(薬莢を引っ掛ける部品)は銃右面にあるので排莢は右に出る。弾を撃ち終わると、ホールドオープン状態となる。これは弾倉の薬莢上げの底板がボルトと干渉してからそうなる。早い話が、モーゼルライフルで5発撃ち尽くしてからボルトを起こして引いて押しこんでも銃弾上げの底板と干渉して押しこめないのと同じ原理。そのため、弾倉を抜くとコッキングハンドルは前進するため、弾倉を入れ替えた際はコッキングハンドルを引く動作が必要で、この点はM16と異なっている。ちなみに、このコッキングハンドルは引いた位置で固定できるにはできる。 銃床(ストック)はクルミ材にプラスチック材を混ぜた材質のものが使われている。わざわざ混ぜている理由はよくわからない。ストックの中には、上方にストライカーが入っている筒があって、その下方は中空になっていて、いろいろな銃器のお掃除部品などが入っている。内容物は
・塗油ひも ・薬室ブラシ ・銃腔ブラシ ・手入れ棒(と、これを入れる袋) ・L型工具 ・手入れブラシ が入っている。 銃内部に入れない予備品は、撃針・エキストラクター用のバネ・弾倉×5となっている。弾倉はフタ付きで埃や泥などが進入しないようにしている。つまり、歩兵1人の装弾数は標準で120発ということになる(予備弾倉×5+銃に付属する弾倉×1)。 他の64式小銃整備用にも ・せん抜き(直径1.3mmと2mmのやつ) ・装弾器(弾倉に弾を積めこむためのローダー。これがあると弾込めしやすい) ・薬室ブラシ(64式小銃の銃床に入っているのと同一なのかは不明) ・薬莢抜き(薬莢の張りつけが起こった時に使う工具) ・ガス筒手入れ具 ・緩衝器分解用レンチ があり、これは工具セットに収納されている。 他、部隊での野戦整備用に ・せん抜き(直径1.3mmと2mmのやつ。上のやつと同じかは不明) ・緩衝器分解用レンチ ・照準規整用メガネ ・基準遊底 ・撃針打撃力テスタ(名前のように撃針の打撃力をチェックする工具) ・ピストンゲージ ・ガス筒ゲージ ・撃針突出量ゲージ(これで撃針の出っ張る寸法をチェックする。出っ張りすぎると撃針破損がおこるし、引っ込みすぎると銃弾が発射されない) ・銃腔ゲージ(銃身測定ゲージ?) ・頭撃ゲージ(用途不明) ・復座バネ荷重測定工具(64式小銃には反動を押さえるために大砲みたく復座バネが銃床にあるのでそれがちゃんとなっているかを測定する) ・引金力測定工具 ・消炎制退器用アライメント測定工具(銃の発射の発射炎で銃口の消炎制退器が曲がったりしてないかをチェックする工具。曲がったりしていると消炎どころか発射炎がひどくなる場合もある) がある。これは1丁に1つもいらないから、何丁かに1つの装備なのだろう。1個分隊で1つと考えられるが、実際の所はわからない。 引き金牽引力は銃で多少の違いはあるけども、だいたい2.7kg〜4.3kgほど。銃によっては引き金が重いのもあるのだろうか。64式小銃では引き金を引くとシアが回転して撃針を解放して打撃する方式になっているのも特徴の1つといえる。 さて、肝心の命中精度だけども、防衛庁の試験では、300mの距離での半数必中界(全弾の半数がそこに集まる直径)が40cm以内に収まった。点射(3点バースト。ただし64式小銃は3点バーストはできないので連射で指きりで点射する必要があるので、実質的に3〜5発バーストと考えていいだろう)では60cm以内と単発よりは多少広がるが、人体目標を考えればそう大差ないと考えていい。「64式小銃はフルオート時の命中率が良い」というのはここから来ているのだろう。 連射時の発射速度は500発/分ほど。ただ、いつも連射で撃っていると銃身が焼ける。銃身が焼けない程度の射撃間隔は6秒に1発ほどが限界。つまり1分間に10発が限度となる。ただ、1分間に100発しか撃たないのならなら銃身への支障はないとされるが、これは無論緊急時以外にはやってはいけないのだろう。 付属品として、銃剣がある。銃剣は無論、全ての64式小銃にセットで納品される。銃剣の全長は435mm。刃渡りが290mmある。当時のレベルにしても刃渡りは長いほうだといえ、「銃剣術は日本のお家芸」ということなのか?。銃剣重量は730gある。着剣してフル装弾した64式小銃は5kg超える。たしかに重たい。89式小銃になって銃が軽くなって喜んだ自衛隊員の話を聞くが分かる気もする。銃剣の刃の部分は黒色染め(しん酸塩皮膜処理)されているが、儀杖用のものはクロムメッキを施している。早い話が銀ピカのまばゆい銃剣ということになる。 他の付属品としては擲弾(てきだん)発射器がある。本体+止めがね+照準器からなり、本体は銃口に装着する。これでM31対戦車擲弾を発射可能になる。照準は水準器や射角調整板などで照準する。射程は大体180mほど。実際に戦争になった場合はそう役には立たなかっただろうと考えられる。これは全ての64式小銃に付属していたのかは不明 標準装備ではないけども、一部の射手には照準眼鏡が配備されていた。ようはスコープで、倍率は2.2倍。本格的狙撃用としては物足りないが、恐らく、部隊付狙撃兵用なのだろう。ようは機関銃手など敵の脅威的目標を狙うためなのだろうと考えられる。照準眼鏡には頬当て(チークピース)も付属していてスコープを付けても楽に頬付けできるようにしている。スコープの取付は銃の真上ではなく、上左になる。これは排莢口の関係だが、照準補正が大変ではなかろうかと思える。 |