グロック17
性能:

全長      185mm
銃身長     114mm
重量      0.62kg
使用弾薬     9mm×19
装弾数        17発








左はガスガンです
どこのメーカーのかを
忘れてしまいました(;_;)










撮影協力
ホビーショップコスモ
 30年以上も前に、「100年後の未来はどうなっている?」という対談で「人はプラスチックを食すようになるだろう」と答えた評論家がいた。無論、そんな事はないだろうが、この時代からすでに巷にはプラスチックが浸透しまくっていたという話でもあるだろう。プラスチックは今でこそ社会問題となりつつあるが、当時としては「加工が簡単」「腐食しない」「安い」といった理由から急激に社会生活に浸透していったといえる。「腐食しない」というのはゴミとして出された際にそのまま残るという社会問題が今ではクローズアップされているが、30年前は、とにかく作れ!・とにかく売れ!・とにかく捨てさせろ(消費させろ)!、な状況ではうってつけの材料だったろう。腐食しないという面では長持ちしますよというキャッチコピーになった。壊れればまた売ればいい。腐食しないといえば、日本の深海調査で深度3000m付近でマネキンの首が見つかったりもした。このニュースは「いかにポイ捨てがなされているか」と結論つけられたが、ある意味腐食しにくいという実証がなされた件でもあるといえる。

 昔は鉄砲にプラスチックを使うというのは考えられなかった。理由はちゃんとある。プラスチックは硬いけど強度がない。剛性がないので、衝撃に弱く割れやすい。その常識を打ち破ったのはアメリカ、アーマライト社のAR10自動ライフルだった。強度を要求する部分のみスチールを用い、あまり強度を必要としない部分はアルミとプラスチックを用い、重量を軽くすることに成功し、また、生産性向上にも役だった。ただ、このAR10自体は軍用として採用されなかったためあまり注目されなかったが、その弟分といえるAR15(後のM16突撃ライフル)がベトナム戦争で使用されその能力を実証できたせいもあって、銃器にプラスチック使用が世界の流れとなっていった。ただ、木とプラスチックを比較した場合、グリップは木製の場合、汗を吸収するがプラスチックは無論吸収しないため滑りやすい、またストックは木製の場合は反動を多少なりとも吸収するけども、プラスチックの場合は剛性がないのでストレートに反動がくると兵士の間ではあまり評判がいいとは言えなかったのだが、やはりコストと生産性が優先された。

 1970年代末にオーストリアのステアー社でAUGという突撃ライフルが製作されてオーストリア軍に採用された。このAUGはバレル以外の表面がほとんどプラスチックでできており、上で書いたようにM16がプラスチック使用の先駆だったが、「AUGはプラスチックライフルの先駆者」と書かれる場合が少なくなく、全面にプラスチックが用いられているからそう言われているのだろう。そうしたオーストリアだから、国内メーカーが影響を受けたのは想像に固くない。
 グロック社では新しい拳銃の開発を1980年代初頭から行っていた。完成されたこの拳銃はグロック17と命名された。17という意味は弾倉に17発の弾が入るからそういう名前がつけられた。つまりグロック1からグロック16までの拳銃は存在しない。
 グロック17の最大の特徴はグリップ・フレームがプラスチック(強化プラスチック)が使われている点にある。また弾倉にもプラスチックが使われている。さすがに、強度が必要な部分(スライドやそれと当たるフレーム部分の一部)はスチールだけども、プラスチックがふんだんに使われているため、弾無しの状態で本体重量が620gとエアガンなみの軽さに仕上がった。
 軽いという利点だけではなく、特に寒い国々でのグロック17の評判は良かった。自分は九州生まれで九州育ちなので、寒さにはピンとこない。九州で真冬日(最高気温でも氷点下な事)になるなんてまずないし、雪だって降るには降るが積もる事はない。ただ、北欧では真冬日は当然だし、その状態でうっかり鉄板に素手で触ろうもんならくっついて凍傷になってしまうという。無論、従来の拳銃もそうである。そうした北欧諸国のノルウェーやスウェーデンでも軍用で採用されている。オーストリアも山岳地域で寒いだろうから、プラスチックをふんだんに使った理由はそうした一面があったのかもしれない。ただ、しつこいがスライドは鉄なので、スライドを引く際はどうしても握る必要はあるから、その場面で凍傷になりかねないとは思うのだが、初弾装填は暖かい部屋で行うのだから問題はないのだろうか?
 また、グロック17の特徴として、ダブルアクションオンリーの発射機構となっている。ダブルアクションオンリーの拳銃としては過去をさかのぼると第二次大戦末期のドイツのフォルクス・ピストーレ(国民拳銃)やこれの焼きまわしのVP70がある。戦時急造の国民拳銃は論外としてVP70で欠点と指摘されたのはダブルアクションだとどうしても照準がブレてしまうという点にあった。グロック17はトリガーストロークが短いのでさほど気にならないトリガープル(引きがねを引く重さ)だと思えるのだがどうだろうか?。また、このトリガーには安全装置がついていて、指で引かないと発射できないようになっている。この安全装置は成功作の部類といえ、ガバメントのグリップセフティと違い違和感無く撃てる利点がある。
 グロック17のもう1つの特徴は安全装置がないという点にある。まぁ、ダブルアクションオンリーだから、コックしたまま持ち歩くこともできないし、うっかり落としてしまっても暴発する危険もないからそれでもいいのか?。考えてみれば操作も単純にできるという利点もあるだろう。敵を見つけたらすぐにホルスターからグロック17を抜き取って敵に向けろ。そして引きがねを引け。それでダメなら諦めろ。みたいな感じもしなくはない。実際に、グロック17は角張ったところはサイト以外は全くなく、即座に射撃体勢が取れる。

 上で書いたようにグロック17のフレームは強化プラスチックで出来ている。そのためこのフレームは空港のX線に反応しなかった。これをかなり騒ぎ立てた人がいたようで、グロック社でも後にX線に反応する材質が使われるようになった。別に銃はフレームだけで撃てるのではない。スライド・バレルは当然金属だし弾もしかり。まぁ、それほどハイジャックに神経を尖らせているという証でもあるだろう。

 グロック17は軍用だけでなく、アメリカ警察からも絶大な支持を得た。30万丁以上もアメリカ警察に納入されたという。その理由としては軽い・すぐ撃てるなどの理由があるのだろう。警官は軍隊と違って、撃たないのが前提だから、所持する拳銃は軽いのがいいに決まっている。警官は他にも手錠や無線機や警棒などいろいろと腰に吊るす必要があるからで、さすがに拳銃を持たないというのは不安だろうから。余談ながら重量軽減策として、手錠を金属からプラスチックのインシュロックに変えてきている。たしかに手錠は重い。

 グロック17は以上のようにグロック社の想像以上に大成功を収めた。そのため成功作のお約束として、バリエーションも多彩に作られた。フルオート射撃を可能にしたグロック18や極限まで小型にしたグロック26などバリエーションは多彩である。