H&K Mk23
性能:

全長      245mm
銃身長     ???mm
重量      ?.??kg
使用弾薬 11.43mm×23
装弾数        12発







右はKSC製のブローバック
ガスガンです。
下に敷いているのはA4の
漫画用紙ですが、あまりにも
デカい銃なため、用紙の下の
布団が見えてしまいました
(;_;)
 Mk23は通称「SOCOM PISTOLE(ソーコム拳銃)」と呼ばれている。通称というよりはこれは準正式名称とも言える。ほとんどの人はそう呼ぶからである。
 1991年8月28日。U.S.SOCOM(U.S.Spetial Operation COMmand=アメリカ特殊作戦司令部)から、H&K社とコルト社に対して、新規の拳銃製作依頼が出された。新規というのは、特殊部隊はその性格上、携帯銃器は小さい方がいい。また、どうしても攻撃的になるので、既存の拳銃ではテストにクリアする拳銃はなかった。理由は、将校用の飾りにすぎない軍用拳銃では耐久度がどうしても不足していたし、市販品はなおさらだった。

SOCOMからの要求項目としては

・.45ACP弾(11.43mm×23弾)を使用
・最低でも3万発の発射に耐えられる構造
 (3万発までは細かい消耗品部品が壊れない程度。なお当初は6万発との指示だった)
・2000発連続射撃してもジャムらない事
 (いうまでもなく本当に連続発射したら銃身が焼け溶けてしまう。その程度までは故障をしないように)
・暑い所でも氷点下でも確実に撃てる事(-30℃から60℃までの間)
・海水に2時間浸しても作動可能な事(海中からの作戦行動も場所によってはあるので)
・上記の状態でも錆が出にくい素材ないし処理を施す事
・砂塵やホコリやグリス切れ状態でもちゃんと作動する事
・全長10インチ(254mm)以内に収め、重量は1.3kg以内(本体+弾倉の重量。弾薬は含まない)にする事

 など、他にもいろいろあるのだがそれは省く。相当に難題の要求であったのは確かであった。十種競技でいえば高跳びでも幅跳びでも槍投げでも世界最高技術を要求しているようなものであったろう。1つのみに突出して作るのであればさほど難しくはない。しかしながら厳しい要求がなされたのであった。だからこそ本来なら何社もの会社に試作させるトライアルが、コルト社とH&K社のみに頼んだのだろう。純粋にワガママな内容を盛りこんだのではなく、本当にそして心からこの要求を満たす拳銃をアメリカ特殊作戦司令部は欲していたのだった。試験は通常の兵器採用試験と同じく3段階での選定となるのだが、今回は2社のみの対象のため1次審査でどちらかが落とされてしまう。そのため両者とも相当にがんばっただろう(通常は1次審査は2社程度が通る)。
 H&K社では1年後に間に合わせるため新規設計は行わなかった。かといって過去に作ったH&Kの拳銃にはソーコム用に耐えうる拳銃などなかった。幸いにもUSPという後にドイツ軍にP8の名称で採用される拳銃が開発中だったので、それをベースに平行開発を行った。コルト社も考えは同様で、自社のダブルイーグルを元に開発を行っていたらしい。両者とも1年後には海軍地上戦センター(海水耐久試験があるため海軍が試験を担当した)に試作拳銃を提出した。30丁が納品されテストされた結果、H&K社の拳銃が採用された。2次審査に向けていくつかの改良項目が指摘された。外見上での大きな指示はなかったものの、グリップ前後にすべり止めのチェッカを削るようにとの指示を筆頭にデゴッキングレバーのすべり止め等の改良指示を受けた。機構的には射撃時にスライドが下がらないようにとスライドロックが設けられていたのを外すように指示がでた。射撃時にスライドを下げない利点はサイレンサーを装着した時に減音効果が高くなる。理由はサイレンサーを付けてもスライドの動く音は当然ながら消せないし、排莢口から射撃音がどうしても漏れてしまうからである。ただし、当然ながら、自動装填ができなくなるので、次の弾を撃つにはスライドロックを外して手動でスライドを引く必要がある。なぜ外したかの理由はわからないけど、そうまでしての減音は意味がないと判断されたのかもしれない。
 2次審査での試験でもいくつかの指摘がでた。1次審査通過の時に言っとけっちゅ〜ねん(~~)、と思うかもしれないけど、実際には作ってみて使ってみないとどうも分からないのであるから仕方がないだろう。この時の指摘項目はフレームの強化で、Mk23を上から見ると分かるけども、後端から3分の2程度まで、スライドよりも出っぱっている。また、細かい点では刻印についにUSSOCOMの刻印が入った(それまではUS GOVT.だった)。グリップ下方にパテント番号の刻印がまた市販を意識してトリガーガード下に警告文(「マニュアルを読め」みたいな意味)の刻印が入った。
 かくして、1996年5月1日から初回分約2000丁が納品されて、最終的には7500丁が納品されたという。1丁当たり10万円強だという。普通の軍用拳銃の5倍はする。大きさを除けば、これがソーコム拳銃の唯一の欠点だとも言えなくはない。
 実戦で実際に使われているかは不明だが、誰も知らないような作戦で使われているのかもしれない。また誰も知られないような所で朽ち果てていくのだろうか?

 Mk23の特徴として、驚異的な耐久性と命中率にある。審査時の耐久試験では、上記の要求項目では2000発無故障が最低条件だったものの、約400丁をテストしてもどんなに調子の悪い銃器でも6000発程度は無故障だった、中には15000発をクリアしたのもあった。命中精度も、審査基準はテスト銃器の平均が25mで2.5インチ(63.5mm)に収まる事が最低条件だったものの、実際には36mmが平均値だった。中には63.5mmをオーバーした銃器もあったろうが、精度の優れたものはなんと13mmで収まったという。.45口径弾は11.43mmなので、殆どワンホールショットである。拳銃射撃競技用にカスタマイズされた銃器並みの命中精度である。
 外見上での特徴は、銃口にサイレンサー装着用のネジが切ってある事で、あとは銃左側グリップに独立したデコッキングレバーがついている。これは兄弟拳銃のUSPにはない(USPではセフティーがデコッキングレバーを兼ねている)。あとは、デカい。これに尽きるかもしれない(^^;)
 1997年からは市販もされている。