H&K P7
性能:

全長      166mm
銃身長     105mm
重量      0.95kg
使用弾薬     9mm×19
装弾数        8発
左は自作絵シチューエションとかは気にしないで下さい
(^^;)


下のP7バリエーション情報の1部は町田玲彦さんからご提供いただきました。
本当に有り難うございます。
≦(_ _)≧
 拳銃というジャンルの銃は15世紀あたりから存在はしていた。当時の拳銃(ハンドガン)は火縄銃を小型化したもので、戦場での使用用途は騎兵の装備品として使われていた。日本でいえば、時代劇で悪商人が主人公に向けて撃とうとして、主人公お抱えの忍者あたりが撃つ直前に助けるみたいなシチュエーションで出てくるあんな銃みたいなものだった。火縄銃の小型バージョンなので、装填は前込めだった。長い火縄銃よりかは装填は楽だったけども、どっちにせよ1分間に3発あたりが射撃限度だった。
 拳銃が連発銃になったのは19世紀中頃だった。金属薬莢の発明で連発式が容易になったのだった。当初はリボルバー式でいちいちハンマーを起こしてやらないといけなくて多少厄介といえば厄介だった。
 無煙火薬の発明がなされるのは19世紀末。燃焼力(爆発力といったほうが正解かもしれない)が安定していて自動拳銃にはうってつけの火薬が誕生した。ただ、初期の自動拳銃はバレル上に穴をあけてそこから発射ガスを噴出させて、そこに当たっているロッド棒を上に持ち上げて自動排莢・装填させるもので、お世辞にも安全とは言いがたく、またカッコも悪かった。だいいち、カッコ悪い拳銃など持ちたくもないというのが人間心理というものだろう。
 やがて、薬莢を薬室に押しつける部品を反動で後退させる方法が考え出されたものの、実際に設計・製作して射撃してみると意外な問題点が露出した。普通に動かすだけでは、火薬が燃焼しきる前にその部品が後退してしまい、強烈な発射ガスが射手に降りかかってくるものだった。とにかく、発射しきるまでの時間・・・わずか0.0005秒の時間だけど・・・を稼ぐ必要があった。その答えを出した1つがショートリコイルだった。スライドが多少後退してもスライドと銃身はくっついた状態で、弾が発射されるまでの時間を稼ぐもので、この方法は拳銃の閉鎖方法としては大成功を収め、多くの拳銃でこの方式が採用されている。機関銃でもこのショートリコイルを採用していたけども、機関銃の場合は、銃身自体が重くこれを前後させるのは効率的ではないため、今ではガス作動式になっているのが多い。

 P7拳銃は西ドイツ(当時)の警察用次期制式拳銃用としてH&Kで開発が始まった。当時の西ドイツは1972年に西ドイツで起こったミュンヘンオリンピック村事件を筆頭にいろいろと不穏な事件が起こった事の背景もあったのだろう。当時の警察用拳銃といえばワルサーPPKといった中型拳銃で、威力の面でも不安があった。そのためだろうか、警察用拳銃として要求されたのは、とにかくコンパクトにするという事。警察は軍隊ではない。いくら社会情勢が不安だとはいえ、拳銃をちらつかせて威嚇しながらの警備などは警察とはいえない。とにかく住民に不安がられないようにという配慮だったと言われる。このあたり、銃器がほとんど出回らない日本との感覚の違いが見受けられる。さて、警察用制式拳銃のテストを受けたのはこの銃だけでなく、ワルサー社やSIG社からも提出されていた。ワルサー社のがP5と命名され、SIG社のがP6、H&K社のがP7と仮に命名された。テストの結果P7が最良好とされ、そのまま、仮の名前のP7がそのまま制式名となった。この命名は、G3ライフルと同じ感覚だと言える。
 P7はコンパクトで評判は上々で西ドイツの各警察で採用された。また警察だけでなく、対テロ特殊部隊のGSG-9でも採用された。後で述べるが、GSG-9での評価はいいとはいえなかった。

 P7の特徴は、ガス作動方式を採用している点にある。もっとも機関銃とちがって、小さい本体にピストンを盛り込んでいるというのではなく、ガス圧によってスライド作動遅らせる方法、いわゆるディレイトブローバック方式を採用してい。FAMASもディレイトブローバック方式というから、同じ方法なのだろうか?。この方法のため、バレルは完全固定でき、命中精度はいいと言われている。もっとも反動が軽減されるわけではないので命中精度はやはり射手次第というべきだろう。
 外見上の大きな特徴はスクイーズド・コッキング・システムと言われる機構を採用している点にある。これはグリップ前の稼動する部分を握りこめばハンマーを起こせる仕組みで、これによって、ハンマーを落とした状態からでもここを握ればハンマーがコックできて、1発目を素早く確実に撃てるという仕組み。ダブルアクション拳銃はハンマーを落とした状態でも撃てるけども、引き金を引くストロークが長くなってしまうので命中精度がどうしても劣る。かといって、いちいちハンマーをコックしてやってれば時間がかかる。警察は軍隊と違って、いつもはホルスターに拳銃を収納していて、不意に犯人と遭遇して撃たなければいけない状況だって有り得る。その際にはたしかに、即座にコックできて即撃てるこのP7はもってこいだったと言えるだろう。
 また、弾が薬室に装填してあると、スライド後方の小さなロッド棒がニョキッと出てきて射手に知らせる仕組みもある。

 P7には上記のように利点もあるが欠点もいくつかある。ガス作動式を採用していて、そのガスは銃身下を通るため、連射をすると引き金部分の指が熱くなってくるという欠点がある。これは改良型では引き金部分のスライド下に耐熱プラスチック製のコの字部品を入れることで解決している。
 あとの問題は、スクイーズド・コッキングで、これはグッと握った際に結構大きな金属音を発する。警官が使う分には問題ないだろうが(拳銃を物陰に隠れてコソッと撃つなんてまずしないから)、隠密行動が基本の特殊部隊では問題ありとされた。そのためにGSG-9ではいい評価はなされなかった。
 欠点といえるか分からないが、スクイーズド・コックレバーがあるので、グリップが大きめで握りにくく、結構違和感があるといえばある。


  P7のバリエーション

 P7:
 初期生産型。詳しくは上記参照。

 P7M8:
 P7に耐熱プラスチックを設けた型。外見上の違いはその程度で、中身はP7とほとんど変わらない。”M8”とは装弾数を表す。そのためM1からM7のP7は存在しなかった。がM7はあとで存在するようになった(^^;)。詳しくは下記参照

 P7M13:
 P7M8の装弾数をダブルカーラムにして13発にした型。グリップがさらに大きくなったのでより持ちにくくなった印象がある。言うまでもなくM9からM12の拳銃は存在しない・・・と言いたかったが後でM10という拳銃は誕生した(^^;)。下記参照

 P7M7:
 P7M8を.45ACP(11.43mm×23弾。ガバメントの弾)を発射可能に改造した型。アメリカ輸出用だろうが、試作のみに終わったらしい。.45ACPはアメリカ以外では人気がなく、またP7自体、アメリカでの銃器市場参入が難しいと判断したためだろうか?

 P7M10:
 P7M13の使用弾薬を.40S&Wに変更した型。.40S&Wはパワーが9パラよりも上なので、アメリカ警察に絶大な人気がある。そのためにこれもアメリカ輸出型だとも言えるだろう。ただ、安全装置を重要視するアメリカ警察にどこまで食い込めるのかは疑問が残る。実際、P7がアメリカ警察に採用された話は聞かない。

 あと、いくつかバリエーションがあるけども、今回は割愛いたします≦(_ _)≧