ワルサーPPK
性能:

全長      148mm
銃身長      80mm
重量      0.57kg
使用弾薬  7.62mm×17
          (.32ACP)
装弾数         7発







左はマルゼン製の
ガスブローバック式の
ガスガンです










撮影協力
ホビーショップコスモ
 ワルサーPPKといえば、007のジェームスボンドが使用している拳銃として有名である。なぜイギリス出身者がドイツの拳銃を好むのかは分からないし、なぜそういう設定にしたのかは分からない。少なくともこのPPKが優秀な中型拳銃であったからという理由ではないだろうかと思うし実際それだけの優秀さも持ち合わせていた。
 ワルサー社の前身はドイツ中西部のツェーラ・メーリスで当時26歳だった青年実業家のカール・ワルサー氏が1886年に銃砲店を開いたことに始まる。当時はスポーツ射撃用ライフルの生産が主だったし彼もそれ以上の事は望んでいなかったのだろう。しかし彼の死後、後を継いだフリッツ・ワルサーはオートマチック拳銃の開発に乗り出す事になった。最初の作品は口径6.3mmの小型拳銃(ポケットピストル)だった。これはモデル1と呼称され、それ以降9作目までモデル番号で呼ばれていた。ワルサー社内部での呼称がなかったのかあるいは当初から付けられなかったのかは分からない。モデル4(1910年に完成)などは第一次世界大戦で使用されているものの、さほどメジャーな存在ではなかった。しかし10作目のワルサーPPはダブルアクション機構を備えて、薬室装填表示機構も備え、精度もよかった。PPとはポリツァイピストーレ(警察用拳銃)の意味である。このPPの遊底を短くしたのがPPKだった。
 最初にPPKのKとは「短い」を意味する「kurz」ではなく、「クリミナーレ(犯罪)」でようはPPKは犯罪警察拳銃の意味である。このPPKはPPと内部機構はほぼ同一で、それゆえに精度もよかった。そのためか、民間用でも結構売れたしドイツ軍にも、大きい拳銃を嫌う将校に好まれて使用した。当然当時の(今でもそうだけど)ドイツ軍主力拳銃の銃弾9mm×19弾とは異なっているものの、基本的に将校の武器は自弁な上に飾りに近い存在だったから、さほど問題はなかった。特にPPKはワルサー社の看板だったようで、金メッキを施したPPKは中華民国の蒋介石総統に献上された。しかし結果的に中国への売りこみは成功はしなかったようだ(日独伊三国同盟が締結される1940年まではドイツから中国への武器輸出が行われていた。余談ながら日中戦争は宣戦布告が行われない戦いだったので、中国に法的にも合法で武器輸出ができた)。
 第二次大戦後、ウルムに再建されたワルサー社だったが、PPKは生産を継続された。今でも生産されている。上に書いたジェームス・ボンド御用達の拳銃だからという理由ではなかろうか(当然、性能と格好がいいからだろう)売れ行きは今でもいいという。