トカレフTT1933
性能:

全長      193mm
銃身長     116mm
重量      0.83kg
使用弾薬  7.62mm×25
装弾数         8発


左写真はKensukeさんからいただきました
どうもありがとございます
≦(_ _)≧

なお、本物ではなくモデルガンです(^^;)
 俗にはトカレフと呼ばれる。実際、日本ではこっちの方が通りがいいだろう。トカレフという名称は、設計した人の名前の「フィヨドル・バジレビッチ・トカレフ」による。
 TT1933と名称があるが実際には1936年に生産が始まった。元々はTT1930と呼ばれる拳銃でこれは1930年にソビエト軍によって制式採用されているが、その後に改修が加えられてTT1933と呼ばれるようになった。改修というより簡素化と言ったほうが正解かもしれない。

↑土浦の武器学校にあるトカレフTT1933
見た感じ、程度は良くないが、頻繁に使用した痕跡が見られない。
どういうルートで土浦までやってきたのだろうか。
 当然ではあろうが、第二次大戦の独ソ戦でも使われた。ただ、ソビエト軍の拳銃使用は極端に少ない。1個歩兵中隊の拳銃定数は9丁で他国と比較しても多い数ではない。これは威力がない拳銃をソビエト軍は白眼視していたからだと言われている。とはいえ、独ソ戦初期のソビエト軍の大敗北によってドイツ軍に捕獲されたトカレフTT1933は相当な数に上った。トカレフTT1933は使用弾薬が7.62mm×25弾でようはモーゼルミリタリー弾と全く同一だった。その理由は、ロシアの11月革命時にモーゼルミリタリー弾が輸入され、そのままソビエト軍制式弾として採用されたからだと言われている。当然、ドイツのモーゼルミリタリー弾がそのまま使えたにもかかわらず、ドイツ軍では9mm×19弾を使えるように改修を行って使われている。「やっぱ、ガバメントと同じフレームだから威力のあるモーゼルミリタリーでは強度的に不安があったんじゃないかなぁ?」という話はマニアならではといえる。当然事実ではなく、自軍の補給の都合上である(モーゼルC96は軍用制式拳銃になった事はない)。しかし、当時は(今でもそうだけど)一般の歩兵には拳銃は支給されておらず、捕獲したトカレフをそのままの形状で私物で使っていた兵士も多かったという。
 第二次大戦後も、ワルシャワ条約機構軍で多数が使用された。ポーランドなどではライセンス生産もされていた。しかし安全装置の追加などの措置がとられた形跡はない。ほぼオリジナルのまま生産は行われた。ただし、しばらくすると9mm×18弾を採用した拳銃が作られるようになったため、今では生産は行われていない。ただし相当数が生産されて、日本にも多数が密輸されている。
 安全装置がない拳銃は今ではグロックやシグP226などがあるが、当時としては珍しく、むしろ危険な拳銃であったと言える。ソビエト軍は攻撃重視のため、防御的な拳銃など重視していなかったから、改良する気などはなかったのだろう。トカレフは貫通力があるにもかかわらず特殊部隊などで使用されているとはほとんど聞かないが、やはり安全装置の欠如が原因なのだろうか?


 外見的にはM1911ガバメントに似ている。というより、ガバメントを参考に作られている。ただし、上で述べたように銃弾は7.62mm×25弾(モーゼルミリタリー)を使っている。ドイツも軍用拳銃弾は9mm×19弾だったので余剰になっていたのだろうとも思えなくはないが実際の理由はよくわからない。
 参考にしたカバメントはM1911A1のほうではなく初期のM1911を参考にしている。そのため引き金が結構前まで出っ張っていて、引ききっても半分ぐらいしか引けない。また、引き金後ろのフレームが面取りを行っていないため、ガバメントに慣れてこのトカレフTT1933を持つと多少違和感がある。
 肝心の命中精度だが、自分は撃ち比べた事がないので分からないが、あまり良くないと言われている。そのためか分からないが、1990年代になって旧東側諸国の銃器が大量に民間用として西側諸国(特にアメリカ)に流れた際もほとんど注目もされなかった。日本でも知名度が高い拳銃ではあるが、警察庁の発表では自動拳銃の押収量はトカレフTT1933の後継のマカロフのほうが最近は数が上回ってきたという。”トカレフが作られなくなっているから”というのが理由だろうが、知名度のわりには性能はイマイチという事なのだろうか?