モーゼルGew98
性能:

全長     1250mm
銃身長     740mm
重量      4.08kg
使用弾薬 7.92mm×57
装弾数         5発
初速         850m/s
左写真はアンディさんから
いただきました
どうもありがとうございます
≦(_ _)≧
 ボルトアクションと言えばモーゼル、モーゼルと言えばボルトアクション・・・といえば過言なのかもしれないが。この言葉を完成させた銃がこのモーゼルGew98だと言える。
 モーゼル社は普仏戦争以後、ライフル銃を改良・発展させていった。1888年にオーストリアのマンリヒャーが開発した5発クリップを組み込んだ銃が原型でこれはGew88と命名された。そしていくつかの改良がなされた。M1889はベルギー向け、M1890はトルコ向け、M1893がスペイン向けだった。なんでかドイツ向けのは1898年と遅かった。これがGew98だった。モーゼル式ボルトアクションとして、今ではごく当たり前の構造なのだが、ボルトハンドルを90°回して引いて薬莢を排莢し、押し込めば次の弾が装填される。弾がない場合は弾を押し上げる金具がボルトと干渉してボルトの前進をストップさせるので、弾切れを知る事ができる。この作動方法は結局はボルトアクションが歩兵用ライフルが廃れるまで全く同一だった。弾が切れたら、5発クリップを使えば一気に装填ができる。これも各国で模倣された。これは日本とて例外ではない。日清戦争では、中国軍(当時は大清帝国軍)の一部がGew88を装備していた。結果的に日本が勝利したものの、日本軍はGew88の性能に注目。有坂中佐は捕獲したかドイツから輸入したGew88を元に30年式小銃を開発した。アメリカも米西戦争でスペイン軍のM1893と遭遇してその優秀性に注目し、モーゼル機構のM1903を開発・採用した。「モーゼルは全ての世界のライフルに影響を与えた」といわれる所以である。
 話は戻して、ドイツのGew98は銃身口径は7.92mmとGew88と同一だったものの、当時開発されたばかりのS弾という従来の弾と若干大きめの弾を使用していた。こうすると銃身と弾が密着して初速が大となるらしい。余談ながら、このS弾を参考にして日本の38式歩兵銃用銃弾(38式実包)が作られた。
 Gew98は第一次世界大戦で帝政ドイツ軍の制式ライフルとして活躍した。特に銃弾威力は列強随一で、徹甲弾を使えば当時の新型兵器「戦車」の装甲をも撃ちぬけた。その後は後継ライフルに主役の座を譲ったものの第二次大戦末期にはライフル不足から、またドイツ軍にご奉公をした。後継銃Kar98Kと比べて違うのは上写真を見ればわかると思うけども、銃自体が長い事と照準が多少複雑になっている点。ボルトハンドルが真っ直ぐな点とスリング取りつけ位置が銃の左側ではなく下にあるのが違う点である。
 バリエーションとしては、ショートカービンタイプのKar98k(第二次大戦のドイツ軍の主力ライフル)が有名だけど着脱式箱型弾倉(5発と10発と25発入りがあった)を装備したGew98/18や、銃身にライナーをかまして22口径弾を発射できるようにした訓練用も作られた(小口径にすると反動が少なくなり、命中精度も高くなる。威力はぐんと落ちるけど、訓練用なら支障がなかった)。
 結果的に、歩兵用ライフルとしては廃れたものの、狙撃ライフルや狩猟用ライフルでは今なお19世紀末に発明されたモーゼルアクションは健在である。いいものは時代を超えて活躍するものなのだろう。