UZI SMG
性能:

全長        440mm
(ストック伸長時640mm)
銃身長       260mm
重量        3.70kg
使用弾薬   9mm×19
装弾数      25・32
連射速度    600発/分
 UZIという名前はこの銃の設計者、ウージー・ガルから取られている。
 さまよえる裏切りの民・・・ユダヤ人がイスラエルの地に建国したのは第2次大戦後間もなくだった。アメリカのごり押しでできたのだが、当然、その地にはアラブ人が住んでいた。追い出された彼らは難民となり、回りのアラブ諸国はイスラエルを敵視した。こうしてイスラエルは回り全て敵という状況に追い込まれた。
 こうした状況のさなか、1950年代初頭にUZIが登場した。短機関銃の利点は簡単な訓練で扱える事である。またオープンボルトの短機関銃は生産が容易であるし使用銃弾もまたしかりだった。このUZIも例にもれない。しかもフルオート時のコントロールが容易な事から当時のイスラエル軍に採用され戦力増強に寄与した。この短機関銃を大量配備させる戦術は他にも例があった。ソビエトである。独ソ戦緒戦で大量の兵員と装備を失ったソビエトは兵士の大量動員とその工業力をフル稼動させ、大量の短機関銃を生産して、兵士に支給した。それでなんとか乗りきった実例があるので、イスラエルもそうしたのだろうか。しかしソビエトとイスラエルには決定的な違いがあった。人口である。ドイツの4倍の人口があったソビエトは用兵のまずさで大量に兵員を失う事があってもそれをなんとか補充してきた。イスラエルはそうはいかなかった。1億の仮想敵に囲まれた350万人の国家でしかなかった。なにせイスラエルでは(今でも)女性を徴兵するくらいだから。
 このUZIの機関部の最大の特徴はL型ボルトを採用している事だろう。L型ボルトはチェコのVz25にも見られ、またVz25はイスラエルに輸出していた事もあり、あるいはVz25を参考にした可能性が強いといわれている。イスラエルはミラージュ事件を初め(ミラージュ事件=イスラエルは自国製の戦闘機を作りたくて、フランスのミラージュ戦闘機の図面を盗んだ事件。クフィルという戦闘機をこの図面参考に作っている)他国の技術をよく使う国(非合法を含め)だな〜と思う。もっとも今では独自の開発で優秀な兵器を作っている。一部は兵器王国のアメリカをも凌駕するぐらいだ。
 中東戦争の初期の頃は活躍したと言われるが、時代がたつにつれ、敵がボルトアクションから突撃ライフルに銃を変えたため威力の弱い短機関銃は徐々に活躍の場を失っていった。そもそも短機関銃自体が主力兵器としては時代遅れになりつつあった。突撃ライフルと比較した場合単純に大きさが小さい分、威力が相当弱くなってしまったからである。しかしながら、補助兵器としてはそれなりには注目され、1960年代に西ドイツ軍でMP5の原型とトライアルが行われ、UZIがMP2の愛称で制式採用された。しかしこれは政治的判断がそうさせたといわれている。ドイツとイスラエルの関係はそこまで微妙であったといえる。ただ、現実的な問題として、実戦を豊富に経験しており、軍用としての信頼性は各段に高かったというのもあったろう。
 しかし、それがUZIの最後の輝きであったといえる。短機関銃自体は完全に補助兵器に格下げとなっていた。ようは、戦車兵用の護衛兵器としてや航空兵などの緊急用の護衛兵器としてだが、しかしそれも突撃ライフルが小口径化していくと、突撃ライフルを切り詰めたタイプが生産され、採用されていくと補助兵器としても注目されなくなっていった。歩兵用突撃ライフルを切り詰めたタイプは単純に操作性が同一にできるし使用弾薬も同一だからである。
 しかし短機関銃は警察関係で注目されていった。突撃ライフルでは威力がありすぎて犯人を撃った銃弾が貫通して、関係ない一般人に命中する可能性すらあるし、流れ弾でもまたしかりだった。実際に、そういった事件もあった。拳銃弾を使用する短機関銃はそういう心配が少ないし、軍隊と違って野戦主体ではないからかえって小さい短機関銃を好んだのであった。そこで多少値段が高くても命中精度のよい短機関銃を好んだ。ここにきてUZIのオープンボルトは致命傷となる。西ドイツで採用を見送ったMP5は若干高いものの、ローラーロッキング式のクローズドボルトを採用しているため、命中率は非常に高かった。軍隊と違い警察では銃器は消耗品ではないし、人命第一なので多少値段が高かろうが性能のいい短機関銃を欲したから警察関係にはMP5が愛用されるようになった。UZI側も命中精度を高める為にクローズド・ボルトを搭載したUZIもあったがそれでもMP5に命中精度は劣った為、警察用にも採用する国は少なかった。

 UZIは歩兵用で開発されたので、着剣ラグがある。ただ、これは相当無理があるのではないかと思うのだが。グリップに弾倉を装填するので、暗闇でも弾倉変えは容易に行える。ただし、そのためにグリップは機関部と垂直であり、純粋に短機関銃として考えた場合に、保持が若干難しい。しかし、実際に保持するとさほどは無理は感じない。MP5などと比較してみると「んとMP5が保持は楽かな?」と感じる程度である。UZIにはバリエーションがいくつかあり、ストックが木製と折りたたみ金属製の2種類のがあり、またバレルを長くしたカービンタイプもある。多少切り詰めたミニUZIもあり、さらに切り詰めたマイクロUZIもある。マイクロUZIは小型ボルトのため、発射速度が1250発/分と異様に速くコントロールが難しい。単純に小さくすればいいものではないという実例であろう。


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