M110自走砲
全長:        ?.??m
車体長:       5.72m
全幅:        3.15m
全高:        2.93m
重量:         28.3t
装甲:         なし
乗員数:        5名


左の写真はkensukeさんから
いただきました
ほんとありがとございます
≦(_ _)≧
武装:203mm榴弾砲×1
動力:デトロイト8V71T
    V8 525馬力
    水冷ディーゼル
走行性能:最大速度:54km/h
       航続距離:???km
総生産台数:???両
  第二次大戦後の戦いのあり方として、機動戦による決着が考えられた。特にワルシャワ条約機構軍はOMGと呼ばれる戦略打撃部隊を前方に張り出し、可能な限り前進し、不可能でも前進しとにかく敵陣に食い込む戦術を行ってくると考えられた。第二次大戦以降は一部の先進国の特権ともいえたモータリゼーションの発達も急速に世界中に広がり、普通の、文字どおりだった歩く歩兵もトラックによる移動を行うようになったためもあるし、NATO軍とワルシャワ・パクト軍が戦闘になった場合は、第二次大戦のような綺麗な前線は作られず、かなり歪(いびつ)なかたちの前線が作られるかあるいは流動的に変わってくると判断された。
 いつの時代の戦いも火力の大小が戦局を左右する。敵の陣地突破の有無も事前の砲撃で完膚なまでに叩くか叩けないかで戦闘結果もかわってくると言えた。牽引式大砲では戦局の流動化で機動力を発揮できるとも限らないため、各国は榴弾砲やカノン砲の自走化を積極的に行ってきた。
 アメリカでは1950年代半ばから同じ車体をつかって、203mm榴弾砲・175mmカノン砲・155mm榴弾砲を搭載した自走砲を開発しだした。開発名はそれぞれT236・T235・T245と命名されていた。特にこれらに要求されていたのは「空輸が可能な事」で、当然重量の制限があった。装甲板は搭載されず、大砲がむき出しの状態で設置され、車体も小さく押さえられた。155mm榴弾砲搭載型は後に装甲付きで全周旋回可能砲塔を搭載したM109自走砲が作られたためか、開発が中断されたけど、203mm・175mm砲搭載型はそれぞれ1961年に採用された。203mm榴弾砲型がM110として、175mmカノン砲型がM107と命名された。
 M110自走榴弾砲は上記のように空輸可能という前提なので、大砲が大きいわりに車体が小さい。乗員構成は操縦手は車体前方左側に位置している。照準手が大砲の砲尾の左側で反対側の右側に砲手がいる。カタログデータでは乗員は5名となっていて、あとの2名は戦車長と装填手と考えられるけども、たしかに実際の演習風景では5名が乗っているが、実際の射撃となると7名以上がこのM110まわりにいる。。たしかに1発90kgもある弾を1人ではもてませんという勘定なのだろうか?。ただ、装填は人力ではなく、装填機がある。装填機に砲弾を乗せるのは人間なのだろうか?。
 M110の欠点として、「空輸可能」が前提だったので軽量化第一なせいもあって装甲は一切なく、乗員は文字通りの丸裸。砲撃や銃撃を受けたらひとたまりもないが、後方からの射撃なので問題なしと判断されたのだろうか?。たしかに「これでは自走砲ではなく自走砲架」と言われても仕方がない一面はあるだろう。
 これの演習風景を見た事があるけども、小さな車体に大きな大砲だけども実に軽快に走っていた。525馬力という大馬力エンジンのおかげだろう。しかしいかにもトップヘビーなので、旋回する際は「遠心力で転ばないだろうか?」と思ったのが本音だった(^^;)。射撃は無論砲手が行なうけども、他の自走砲と違っているのは、砲手が席を外して立ち姿勢で射撃をする事(ヒモを引っ張る)で、まさに「自走砲架」ともいえる。射撃時は車体後方にブルトーザーのような鋤がついていて、これを地べたにかませて射撃を吸収している。このせいもあってか射撃角度は中心から左右30°までしかとれない。ちなみに、仰角は65°、俯角は2°とれる。射撃時の反動はやはりすごく、この鋤(スペード)がないと車体が20センチぐらい下がるんじゃないかなぁと思えるぐらい(^^;)。
 M107の方はベトナム戦争で活躍しているが、M110の方は戦績はよくわからない。
 ちなみに、M110はA2になって砲身延長措置がとられて射程が増している。日本自衛隊ではこのM110A2を「203mm自走榴弾砲」として採用している。最初の何台かは輸入され教育目的で使用されたものの、それ以降は全てライセンス生産されるようになった。大砲は日本製鋼所で作られて、車体は小松製作所で作られている。配備は北海道に優先され、同地の北部方面隊の第一特科団から配備されている。ちなみに、最大射程は21900mでロケットアシスト弾を使えば29000mまで伸びるものの、威力と命中率が落ちるという理由でM110用ロケットアシスト弾の自衛隊での採用は見送られた。


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