M163バルカン対空自走砲

全長:        4.86m
車体長:       4.86m
全幅:        2.69m
全高:        ?.??m
重量:         ?.??t
装甲:       ???mm
乗員数:        ?名
武装:20mmバルカン砲×1
動力:デトロイト6V53
    V6 215馬力
    水冷ディーゼル
走行性能:最大速度:68km/h
       航続距離:???km
総生産台数:???両
 アメリカ軍の航空機戦力は強大だった。これは誰しも認めるし承知でもあった。そんな軍隊だから地対空兵器の開発がおろそかになるのは当然だったとも言える。さすがに、不必要とまでは思わなかったから、いろいろと開発・配備はなされていったものの、他の国に比べたら性能は1歩も2歩も譲っていた。弾道ミサイルの盛りになると、アメリカも、ナイキやパトリオット対空ミサイルシステムを開発し配備した。特にパトリオット対空ミサイルシステムは湾岸戦争でも使われて活躍したし、軍事を全く知らない日本国民でさえも、報道によって知らされた有名な兵器の1つといえる。
 さて、第二次大戦後の1951年からアメリカはM42ダスターという対空自走砲を開発している。これは40mm機関砲×2の装備でそれなりに強力だったものの、光学照準(ようは人間の目による照準)で、速くなりつつある航空機に対しては役不足だった。役不足というよりはまぐれ当たり以外に撃墜は期待できなくなっていた。アメリカは空軍に絶対の自信をもっていたせいもあり、対空兵器の開発は熱心ではなかった。ただ、全く持たないというのは問題があったのか、とりあえず既存の兵器で対空自走砲を作ろうという考えがおこったのか、1960年代中頃から開発を行なって1968年に制式採用となった。これがM163対空自走砲だった。
 M163対空自走砲は基地防衛用のM163バルカンシステムをM113の車体にそのまま乗せている。このM163バルカンシステムの銃器は航空機用のM61A1バルカンだった。コスト削減の意味もあるだろうが、開発に熱心ではなかったというのが本音ではなかろうか?。このM163対空バルカンシステムは一応、レーダーはついていた。ただし、距離測定専用で、索敵はできなかった。そのため、敵を探すのは目視となる。距離を測定して、高度や距離を割り出して、コンピューターが自動的に射撃位置を割り出すものの、射撃は人間が手で行なう必要がある。つまり自動式ではない。そのため、コンマ1秒を争う対空兵器にあっては致命的な欠点となる。
 M163対空自走砲は830km/h以下の目標に対しての撃墜率は35%という計算データがある。無論紙の上の数字で、実際には下回る。また緊張を強いられる実戦での撃墜率はこの数字を大幅に下回る。
 1970年代にはすでに旧式兵器に属してしまい、さすがにアメリカ陸軍も本腰をいれて対空自走砲を開発した。それはM48戦車の車体に40mm対空機関砲を2つのせて、レーダーも索敵用と追跡用の2つを装備し、最新のFCS(射撃統制装置)をそなえたM247ヨークだった。1981年に制式採用されたものの、1983年に1号車が引き渡された時にアメリカ議会で軍事費削減大量に挙げられて、キャンセルされてしまった。そのためこのM163対空自走砲はそのまま実戦配備されつづけた。ある意味、アメリカ軍の空軍力の強大さを見せつけている兵器がこのM163対空自走砲だとも言えなくはない。


戻る