4号自走重歩兵砲"ブルムベアー"(SdKfz 166)

全長:        5.93m
車体長:       5.93m
全幅:        2.88m
全高:        2.52m
重量:         28.2t
装甲:    正面 100mm
        側面  50mm
乗員数:        5名
武装:12口径150mm砲×1
    7.92mm機関銃×1
動力:マイバッハ
    300馬力ガソリン機関
走行性能:最大速度:40km/h
       航続距離:???km
総生産台数:306両
 ドイツ軍は歩兵砲と呼ばれる大砲を多用した国である。歩兵砲とは歩兵に随伴する大砲で、普通の榴弾砲なんかは前線から何キロか後方に下がってから撃つけども、歩兵砲はせいぜい何百メートルの距離で射撃していた。日本軍もそうだったけども、日本軍の歩兵砲は75mm口径だった。ドイツにも75mm口径の歩兵砲があったけども、火力はデカい方がいいという事からか150mm口径の歩兵砲まであった。ただ、このクラスになると、相当重たいので繋駕(お馬さんで引っ張る)はすごく大変なので(原則的に歩兵砲はお馬さんが引っ張っていた)、自走化の計画は第2次大戦初期からあった。結果的にいくつか、150mm歩兵砲を搭載した車両が作られた。期待以上に活躍したものの、共通の欠点がオープントップで、また装甲が薄い事だった。自走榴弾砲なら後方から撃つのでさほど欠点とは言えないが、歩兵砲は上で書いたように前線に密着して活動するので、装甲の薄さは欠点となっていた。特に市街戦ではオープントップの自走歩兵砲は不意打ちを食らう事があった。自走重歩兵砲の重装甲化の要求はこの理由からなされた。
 ブルムベアー(気難し屋)の開発は1942年末からだとされる。この当時、3号戦車の車体に150mm歩兵砲を搭載した車両が試験的に運用されており、スターリングラード市街戦に投入されていた。結果は上々だったものの、3号戦車が母体のため狭いという欠点があった。なにせただでさえ狭い戦車の車体の中で38キロの砲弾を手動で抱えて装填するから、装填手の苦労は並大抵ではなかった。オープントップにするというのも手だったけども、そうすると市街戦では弱さを露呈する。敵はビルの上からでも容赦無く攻撃してきたからだった。そのためブルムベアーは4号戦車を母体として開発された。歩兵砲は上で書いたように最前線で使うため、装甲は前で100mmと戦車なみの防御力を備えている。また、戦闘室を大きくしたので、独特の形状になっており、短い砲身の150mm砲とあいまって愛嬌のあるスタイルとなった。完成時にはすでにスターリングラードはソビエト軍に奪還されていたが、次なる決戦(クルスク戦)に備えて急いで量産が始まった。クルスク戦までに60両が完成して戦場に送られて、第216突撃戦車大隊を編成して、エレファントの支援用として使われたとされる。その後も東部戦線で使用され、一部はイタリア戦線でも使用された。ただ、ブルムベアーの戦績については殆ど資料がなく、どのような活躍をしたかは不明な点が多い。


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