ゴリアテ(Gerat671)

全長:        1.60m
車体長:       1.60m
全幅:        ?.??m
全高:        ?.??m
重量:         0.43t
装甲:        ??mm
乗員数:       無人

上記データはVモトールのものです
武装:76kg爆薬
 (Eモトールは50kg)
動力:ガソリンエンジン
    排気量703cc
(Eモトールは電動モーター)
走行性能:最大速度:??km/h
       航続距離:650m
総生産台数:両
 工兵の任務の華は爆破と言われる。橋やトーチカや鉄条網の破壊が多かった。橋の破壊は敵の進出を遅らせる目的なので、比較的安全だが(爆薬を扱うので危険は危険だけど)、トーチカや鉄条網破壊は最前線で行うので、常に危険がつきまとった。どんなに鍛えた人間でも銃弾には耐えられない。そんな銃弾や砲弾が飛び交う中を前進して爆薬を仕掛けて爆破させるのは技術と勇気がいる任務だった。一番良かったのは爆薬自体が自分で歩いて敵陣まで乗りこむのが一番といえばその通りだった。そんな技術は当時はなかったけど(今でもだけど)、後方で兵士が操縦させながら運転すればそれで良かった。
 無人特攻兵器を敵陣に突っ込ませる兵器自体の開発は結構早い。1号戦車をベースに無線操縦の無人爆薬兵器を第2次大戦勃発前後に開発していた。ただし、自分が爆発するものではなく、日本のい号作業機のように爆薬を敵陣に持っていて置いて帰ってくる車両で、使い捨てではなかった。1940年のフランス戦では試験的に実戦投入がなされた。ただ、戦果は不明。この実戦投入ではいくつかの問題点があった。詳細は不明だけども、日本の「い号作業機」のようにうまく爆薬を設置できなかったのだろうかと想像される。また根本的な欠点として、無線操作は当然、無線の受信機を設置する必要があるけども、当時にしては高度な技術が必要だったし、第一高かった。損耗が高い兵器にそんなに金をかけられなかったという事情もあった。
 こうして生まれたのがゴリアテだった。無線操縦から3本の細いケーブルをよじった有線操縦のリモコン爆弾で、「爆薬を仕掛ける」という事はせず、自分自身が爆発する無人特攻兵器だった。初期のゴリアテはEモトールと呼ばれ、電動モーターで駆動していた。形は第1次大戦時のイギリス軍の菱形戦車を小型にしたような感じで、使い捨てなので無論、構造はきわめてシンプルだった。車体部品の多くが大量生産できるプレス加工で作られていた。このEモトールは自重370kgで50kgの爆薬を積んでいた。このEモトールは欠点もあった。爆薬量がやや少なく、電動モーターにはバッテリーなども積む必要もありそれ自体でもやや価格が高かった。それにモーターには大量の銅線が必要になってくるけども、銅線は電線には欠かせない戦略物資で、その産出量はドイツでは非常に低かった。資源小国日本と比較しても(戦前のデータだけど)日本を100とするとドイツではわずか32.5に過ぎなかった。そのため、ガソリンエンジンを搭載し、爆薬も多く詰めるようにするために車体をやや大きくしたVモトールが開発された。このガソリンエンジンは703ccの単車用エンジンで無論大量生産には適していた。爆薬量も76kgと1.5倍になり破壊力も強力となった。
 実戦では多数が投入されたと想像されるが、あまり記録には見当たらない。数少ない戦場投入例は、1943年7月のクルスク戦で第654重戦車駆逐大隊が地雷原除去用に使用したのが記録にある。爆圧で地雷を誘爆させるもので、相当な効果があったとされる。また1944年6月のノルマンディ上陸戦では上陸してきた連合軍に突進していったものの、敵まで到達したものはなかった。不意の上陸だったので整備がおざなりにされていたためと想像される。その他はいろいろな戦場で活躍したと思われるが、記録が殆どない。
 分類上は「車両」だけど使い捨て兵器なので部隊の定数というのはなかった。


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