5号駆逐戦車(ヤークトパンター)(SdKfz 173)
全長:        9.90m
車体長:       ?.??m
全幅:        3.42m
全高:        1.85m
重量:         46.0t
装甲:     最大100mm
乗員数:        5名

左写真は見てわかるように
WTMのやつです(^^;)
武装:71口径88mm砲×1
    7.92mm機関銃×1
動力:マイバッハ
    594馬力ガソリン機関
走行性能:最大速度:46km/h
       航続距離:???km
総生産台数:392両
 駆逐戦車とは分かりやすくいえば、装甲板付き自走対戦車砲といえる。ようは機動力と防御力のない牽引対戦車砲にそれらを与えるために生まれた。誤解のないように言っておくけども、牽引式対戦車砲はそれ自体に防御力がないけども、陣地構築などにより相当強化できる。穴を掘って対戦車砲砲身スレスレに地べたをつければ、発見されにくいし、攻撃も命中しにくい。そこに偽装屋根をつければ航空攻撃も安全だった。そのような防御強化された対戦車砲陣地はカノン砲の直撃は稀だったし、榴弾砲もしかりだった。実際に、「戦車を破壊するよりも対戦車砲を破壊するほうがよっぽど意義がある」と言った戦車戦のエースもいた。ただ、当然ながら、移動は不可能だった。移動させるには、展開解除してトラックなんかで牽引させて、その移動先にまた穴を掘らないといけないから、その苦労は並大抵ではなかった。かくして防御力のある自走対戦車砲の開発はなされた言える。
 後に「ヤークトパンター」と命名される駆逐戦車の開発開始時期は結構早く、1942年10月2日にその指令が出されている。条件としては71口径88mm砲の搭載だった。この当時は同じ71口径88mm砲搭載の対戦車自走砲「ナスホルン」(の試作型)が完成間近だったけども、ナスホルンはいかんせん防御力がなかく、応急的な戦闘車両というのは自認されていたのだろうか。ともあれ、この先進性は評価してよいだろう。車体には当時開発が完了してまもなかった5号戦車「パンター」が選ばれた。形状はパンター戦車の車体の傾斜装甲をそのまま上にもっていった感じで、それに大砲を積んだような形になっている。パンター戦車と比較して大砲が一回り大きいわりに重量はほぼ同じ。その分、前面装甲が100mmとパンター戦車(前面で120mm)よりは薄くはなっている。ただし、45°近くの傾斜が与えられている為被弾性は非常に良かった。特に駆逐戦車は砲塔がないので、よけいにその効果は高かった。
 1944年1月に試作車両が完成。早速量産が開始された。攻撃力に限っていえば最強で理論の上では1000m以内の距離ならば連合軍のどんな戦車も一撃で撃破できた。ソビエトのJS-2重戦車あたりは少し苦しいかもしれない。ただ、西側連合軍戦車ならば2000mの距離でも撃破できた。また、同じ大砲を搭載しているティーガー2重戦車は重量があるので機動性に難があったものの、こちらのヤークトパンターは機動性から言えばパンター戦車と同一だった。前にしか大砲を撃てないという欠点はあったものの、走・攻・守の3つがそろっていたヤークトパンターは最良の駆逐戦車として評価は高い。
 唯一、欠点といえば戦車よりは生産効率がよかったものの、1945年3月までに392両しか完成しなかった。さらなる不幸は、大量投入されたラインの守り作戦(バルジ作戦)で無為に攻勢に使われたため、燃料切れなどで泣く泣く放棄された車両も少なからずあった。
 ヤークトパンターは駆逐戦車で、本来は戦車猟兵(対戦車砲兵)が指揮する駆逐戦車大隊に配備されていたけども、威力がある戦車が少ないという理由で、戦車部隊にも配備されていた。戦車的な機動的運用はできなかったと考えられるけども、そこは勤勉なドイツ人だから、前にしか撃てない駆逐戦車の欠点を克服して敵と互角以上に渡り合っていたのだろう。


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