42式自走ロケット砲”マウルティア”

全長:        6.00m
車体長:       6.00m
全幅:        2.20m
全高:        ?.??m
重量:         ?.?t
装甲:        ??mm
乗員数:        ?名
武装:150mmロケット×10
    7.92mm機関銃×1
動力:???
走行性能:最大速度:40km/h
       航続距離:???km
総生産台数:300両
(生産数は自走ロケット砲のみです)
 名称は正確には「Panzerwerfer 42」なので、厳密に日本語に訳せば「42型ロケット砲戦車」となるかもしれない。
 ロケット兵器自体は、古くから存在していて、良く知られているのは蒙古軍と対峙した宋軍が撃退用に使っている。また、アメリカ国歌に「ロケットの赤き炎」という歌詞があるように、アメリカ独立戦争でもイギリス軍が使っていた。
今との共通の利点は自分で飛んでいくので反動がないから発射器は簡単にできるという点。欠点は命中精度が悪いという点にあった。20世紀初めに大砲の飛躍的向上によってロケット兵器は忘れ去られようとした時期もあった。大砲の飛躍的向上とは、駐退器の発明と火薬の進歩にある。駐退器は油圧なり空気圧なりをつかって、大砲の発射時の衝撃をやわらげる装置で、これがないと、大砲自体が後ろに転がってしまい、1発1発照準する必要があった。この駐退器のおかげで連続して砲弾を発射できるようになった。また、火薬はいままでは黒色火薬が主流だったけども、19世紀末に無煙火薬が発明され、爆発力が飛躍的に向上した。第一次世界大戦はこの完成された大砲で戦われた。
 ロケット兵器は第一次世界大戦での敗北国ドイツで盛んに研究が行われた。理由は、敗戦で大砲の開発が制限されたため、その網を逃れるためにロケットを開発していた。ただ、実戦でいち早く大量投入したのはソビエトだった。有名なのはBM-13”カチューシャ”で、発射器はただのレール、車体はただのトラックという急造兵器みたいなものだったけども、効果は絶大で狙われたドイツ軍はもとより、味方のソビエト軍もその場から退却したというものだった。対抗上ドイツもこのロケット兵器を戦場に大量に投入する事になる。
 機械牽引(トラック牽引)のロケット砲自体はドイツ軍でも多用された。大砲と同じように、機動性があまりなかったのと、普通の大砲と決定的に違うのは、ロケット砲は発射時に大量の煙を出すので、その位置がバレやすく、撃ったらすぐに移動させる必要があった。始末が悪い事にロケット砲はこの大量の煙を後方に出すので砲員はそのロケット砲から退避させる必要があった。だから、余計に素早く行動しなければいけなかった。これを自走化させたのは当然の成り行きかもしれない。
 マウルティア(ロバ)の名称の車輌は元々はハーフトラックの名前だった。オペル社の3tトラックをハーフトラックにしたやつだったけども、このハーフトラックに装甲を施して10連装の150mmロケット砲を搭載したのが本車だった。ただ、名称はマウルティアのままだった。
 150mmロケット砲は実際の直径は158.5mmで重量は34.1kgだった。最大射程は6900mだった。また、仰角は最大80°、俯角は最大12°。射角は270°だった。早い話が真後ろから左右45°には照準ができない。
 マウルティアの車輌の特徴としては操縦手などの覗き窓は当然あったけども、これらの窓は完全に閉じられるようになっていた。これは発射時の煙を中に入れないためだけども、今のアメリカのMLRSも同じ方式を採用している(MLRSの窓はヨロイ戸だけど)。照準部分はロケット砲搭載基部にあり、当然ながらこの窓も完全閉鎖できた。再装填は車体後部に扉があり、そこを空けて再装填を行なった。細かい点をいえば、左右の車体前方にツルハシが装備されていた(当時の写真を見る限り初期の車輌には装備されていなかったらしい)。また、操縦席上にある機関銃(MG42)も初期の車輌には未装着のが見受けられる。
 さて、機動力が必要なロケット砲部隊に機動性を与えたため相当な戦力になったと思われるが、実戦の活躍はわからない。特に大戦後半になると制空権が連合軍のものになったので、自走化しようとも発射すればバレてしまうからとも思えなくはない。
 生産数は300両。ロケット砲搭載車輌には予備砲弾があまり積め込めないので、同じ車体を使用した弾薬搬送車輌も289両作られた。


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