73式装甲車
全長:        5.80m
車体長:       5.80m
全幅:        2.90m
全高:        2.21m
重量:        13.3t
装甲:         ???
乗員数:        4名
搭乗歩兵:       8名


左写真はいちのへさんに提供していただきました
どうもありがとございます
≦(_ _)≧
ちなみに、左写真は試作型で、砲塔(機関砲塔)を装備しています。当然ながら本生産型とは異なります
武装:12.7mm機関銃×1
    (600発搭載)
     7.62mm機関銃×1
    (4500発搭載)
動力:4ZF型 V気筒8590cc
    300馬力ディーゼル
    4気筒空冷2サイクル
走行性能:最大速度:60km/h
      (水上では6km/h)
行動距離:300km
総生産台数:???
 73式装甲車は昭和42年頃から開発開始されたとされる。開発理由は、60式装甲車には浮航性がなく、NBC(=核・毒ガス・細菌兵器)防御力も弱かった。また、人数もより多く詰めるようにしなければならなかった。自衛隊の1個分隊は10名なので、6名搭乗の60式装甲車では不足だった。ただ、上の表で書いているよう乗員は8名と少ない。もっとも、機関銃手2名も1個分隊の人数に入れているかもしれない。なお乗員の内訳は、車長・操縦手・12.7mm機関銃手・7.62mm機関銃手の4名になっている。乗車できる歩兵は8名で、予備座席として1つの空きがある。これらの要求を満たすのに単純な方法は車体を大きくする事だった。実際73式装甲車は60式装甲車に比べて一回り大きい。また、開発中の新型戦車(後の74式戦車)に追従できる機動力も要求されていた。余談ながら、73式装甲車は74式戦車よりも速く走れる。73式装甲車は浮航性もそなえているものの、着脱式の浮航装置が必要で、わざわざ取り付けて渡河する必要がある。それでも自力で河を渡れるのは利点だと言える。ちなみに、渡河時の最高速度は6km/hとなっている。この数字は静水時のもので、川の流れが激しいところでは多少劣る。
 73式装甲車は名前のように昭和48年(1973年)12月5日に仮制式となった。生産された車両は配備はもっぱら北海道に駐屯する師団に行われている。無論実戦経験はないものの、災害派遣には出動している。平成12年の北海道有珠山(うすざん)噴火の際は第7師団の第72戦車連隊か第73戦車連隊かのどっちかの所属あるいは両方所属の73式装甲車が出動していた。相当活躍したと思われ、ついに噴火による死者を出さなかった。重量が13.3tとそこそこ軽いため舗装道路も壊さずに走行しており、浮航性を追求した「軽さ」の点でも大きな利点となっていた。


 73式装甲車の武装は60式装甲車と同じく12.7mm機関銃と7.62mm機関銃を1丁つづ装備している。違っているのは12.7mm機関銃は車内からリモートコントロールで射撃が可能な事にある。そのため60式装甲車にあった12.7mm機関銃用防盾は73式装甲車にはない。また、73式装甲車は銃眼を供えている事で、そのため搭乗歩兵は車内に乗ったままライフルを射撃ができる。余談ながら、これは日本でいえば95式装甲軌道車以来の装備である。
 また、エンジンは74式戦車や75式自走榴弾砲とボアとストロークが共通化されていて、ボア135mm・ストローク150mmとなっている。ようは違いは気筒の数のみである。ボアよりもストロークが長いタイプをロングストローク式というけども、このロングストローク式は力に粘りがあるのが特徴で、軍用としてはよく使われている。逆に民間用としては加速力に劣るので、現在ではあまり使われていない。スクエア式(ボア=ストローク)かショートストローク式(ボア>ストローク)が主流となっている。
 些細な点だが、60式装甲車にはなかった機構として、後部乗員室の底に緊急脱出ハッチを設けている点がある。「些細」とは失礼ないいかただろうが、この点乗員の気配りが窺い知れる。乗っている歩兵にしたら安心感は計り知れないものがあるだろう。
 他国の兵員輸送車と見比べても特に特徴があるわけではない普通の装甲車である。ただ、試作時は砲塔を載せた歩兵戦闘車として就役させる予定だった。上の写真はその試作車両で、結局はごく普通の兵員輸送車となった。理由は簡単。金がかかりすぎるから。ただでさえ高い自衛隊の兵器なのだからそれでもかまわないとは思うんだけども、やはり裏事情は違うのだろうか?


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