全長: 4.88m 車体長: ?.??m 全幅: 2.41m 全高: 2.41m 重量: 9.4t 装甲: 最大15mm 乗員数: 3名 |
武装:46口径45mm砲×1 7.62mm機関銃×1 動力:95馬力ガソリン 走行性能:最大速度:28km/h 航続距離:240km 総生産台数:約12000両 (上記データはT-26Bのものです) |
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第一次大戦から第二次大戦にかけての間に、戦車が飛躍的な性能アップを遂げたのはソビエトだった。ソビエトは1917年3月に帝政ロシアが倒されて、同じ年の11月にポリシェビキが革命の革命を起こしてソビエト連邦が成立した。そんな新興国家だからか、新しい兵器「戦車」の輸入・開発には積極的だった。特に本国アメリカで蹴られたクリスティー戦車を購入した功績は大きい。これがなかったら傑作戦車T-34戦車もなかっただろうから。あと、戦車先進国イギリスからも輸入はしていた。ただ、輸入だけでなく、コピー生産も行なっていた。実際ソビエトは5ヵ年計画を何度か実施しているけど、これは結果的に経済の推進にはならなかったが、工業化の推進には相当役にたった。実際、1931年にはヨーロッパでのトラック生産量が一番になる。 T-26軽戦車の母体は、イギリスのビッカース6t戦車だった。これからわかるように、この軽戦車は元々が偵察・連絡が目的でなく歩兵支援が目的だった。そのためか、購入したビッカース戦車をソビエトは独自な改良を施した。37mm砲と7.62mm機関銃を別々の砲塔にして、これを車体に乗せた。ようは砲塔が2つあるんだけども、これは演習なんかで、実戦的でないと評価は辛かった。そのためダブル砲塔を諦めて、より大型の単砲塔にしてより大きな45mm砲を搭載した。これは一応の成功作で、5500両ほどが生産されて、ほとんど戦車のような配備状況だった。T-26軽戦車は攻撃力はあったけども装甲が薄く、いくつかの戦いを経て装甲強化がなされていく事になる。 T-26軽戦車が一番の活躍をしたのはノモンハン事件で、当時の日本軍の主力であった89式中戦車や95式軽戦車の装甲は薄く、搭載している45mm砲でいとも簡単に撃ち抜けた。BT戦車と同じ大砲を積んでいたので、攻撃力に限っていえば戦車と同等だった。そのためか、1日の戦闘で、日本戦車隊は投入戦車の半分以上を失う大敗北を喫して撤退した。ただ、T-26軽戦車は装甲が薄いので、野砲・速射砲のエジキになったものも多かったといわれている。1939年7月3日の戦闘で、ソビエト軍の戦車・装甲車の損失は実に150両以上とされているが、T-26軽戦車もこの中に多く入っているのは想像に固くない。 T-26軽戦車の防御力が大問題になったのは、フィンランドとの戦い「冬戦争」で、特に対戦車ライフルの損失が非常に多く、応急措置として、追加装甲板をボルト止めしていた。ただ、エンジンは95馬力のままなので、機動力は相当に落ちただろう。 T-26軽戦車に引導を渡したのはドイツ軍だった。1941年6月22日にドイツはソビエトに攻め込むのだが、その時のソビエト軍戦車の半分弱がこのT-26軽戦車だったという。攻撃力だけはドイツ戦車よりも上だったけども、決定的な差ではなく、特に防御力の弱さは致命的となった。戦車兵技量も相当劣っており、開戦初期から、T-26軽戦車は一矢報いることなく、各地で撃破されていった。開戦直後のソビエト戦車の損耗が異常に多いのはこれが理由とも言えなくはない。 T-26軽戦車のバリエーション T-26A(M1931): 最初の生産型。上で書いたように37mm砲と機関銃を別々の砲塔に搭載したダブル砲塔を搭載していた。生産数は不明。実戦投入されたかもわからない。 T-26B(M1933): あまり実戦では使えそうにないダブル砲塔をやめて、45mm砲を搭載した単砲塔を搭載した型。ノモンハン事件で戦果を上げたのもこの型。ただ防御力が問題で、これはノモンハン事件だけに限った事ではなく、スペイン内戦や冬戦争でも問題となった。特に後者2つの戦いでは対戦車ライフルでの損失が多かった。約5500両が生産された。 T-26S(M1939): T-26Bの砲塔をリニューアルした型。砲塔が避弾径始に優れた傾斜をもった砲塔になった。ただ、最大装甲厚が15mmではたかが知れている。実際、フィンランド戦では単戦車ライフルにやられ追加装甲を施すハメになった。 OT-26: 火炎放射戦車型。火炎放射戦車は既存の戦車を利用して作られる事が多いが、軽戦車を流用するのは珍しい。これは車体が狭くなるので、火炎放射用の燃料がどうしても少なくなってしまうからである。生産台数や戦績は不明。ソビエトではT-34戦車を改造した火炎放射戦車を作っているので、あまり成功作ではなかったと考えるのが自然だろうか?。しかし、派生型が作られるという事はそれだけ優秀だったとも言えるだろう。 |