T-90戦車

全長:        9.53m
車体長:       6.86m
全幅:        3.78m
全高:        2.23m
重量:         46.5t
装甲:       ???mm
乗員数:        3名
武装:42.4口径
     125mm滑腔砲×1
    (43発搭載)
    12.7mm機関銃×1
    (300発搭載)
    7.62mm機関銃×1
    (2000発搭載)
動力:V-84MS 12気筒4スト
    840馬力ディーゼル
走行性能:最大速度:60km/h
       航続距離:550km
総生産台数:現在も生産中
 冷戦期最後の戦いといえる1991年の湾岸戦争ではソビエト製戦車はアメリカ製戦車になすすべもなく敗れた。いくらモンキーモデルだったとはいえ、ソビエト軍首脳のショックは計り知れないものがあったのは想像に難くはない。しかし、対応策を考える間もなく、ソビエトという国家自体がなくなってしまった。国名がロシアに変わったものの、かつて「戦車大国」と謳われた誇りまでは捨ててはいない。その証拠にかT-72戦車をグレードアップした戦車を開始した。後にT-90と呼ばれる戦車だった。
 上で書いたようにT-90戦車は1992年から開発開始がなされたといわれているが、旧ソビエト期から開発がなされていた可能性がないとは言い切れない。T-90戦車はT-72戦車の発展型である。発展型というより追加装備型といったほうが正解かもしんない。T-90戦車は今のロシア軍にも配備されているけども、T-64・T-72・T-80・T-90と似たような戦車が4種類も配備されている事になる。ややこしくはないのだろうか?
 T-90戦車はT-72戦車をT-80Uなみにグレードアップさせている。つまり主砲はT-80Uと同じ新型の125mm滑腔砲で9K119レーザー誘導ミサイルを主砲から発射できる。このミサイルはロシア軍の発表では最大射程が5000mでその時の命中精度は70%程度で、750mmの装甲を貫通できると主張していて、M1エイブラムズも撃破できると主張している。最大射程はともかく、エイブラムズを撃破できるかどうかは分からない。正直にいえばできないだろうと考えられる。
あと、ミサイル防御装置のミサイルジャマー赤外線放出装置やミサイルレーダーを備えて、命中直前に爆発パネルを作動させてその破片でミサイルを誘爆させる機能もついている。装甲は砲塔や車体の装甲厚を増すのではなく、リアクティブアーマーなどをペタペタ貼り付けている。そのため外見上ではT-72戦車と同じには見えない。むしろT-80戦車と間違えるかもしれない。ここまで念入りな防御装置は西側諸国の戦車にはなく、売り込みの際には積極的に主張されている事だろう。
 T-72戦車と車体はほぼ同じなのでエンジンは840馬力のままになっている。いくらなんでもこれではパワー不足は否めず、ロシア側でも950馬力や1100馬力のエンジンを開発して搭載を計画しているといわれている。ソビエトの戦車は伝統的にV型エンジンで車体のエンジンスペースが小さい事もあって、大馬力のディーゼルエンジンは多少難しいとも思える。
 T-90戦車は存在が公表されたのが1993年で、特に世界中に知れ渡る事になったのは1997年のアブダビの兵器見本市で、ロシア軍は走行テストでダッシュ能力のよさ、池みたいな所を果敢に進むなど積極的に性能をアピールしていてからで、無論積極的に売り込みを図っている。交渉が成立した国はあまりないけども、インドが購入を決定しすでに部隊配備されている。インド軍は元々はT-72戦車を配備していたので、車体と砲塔がほぼ同じT-90戦車の配備には抵抗がなかったからだろう。また、T-90戦車は1両が100万ドル(約1億2000万円)と、搭載している備品の割にはかなり安価な点も評価されたと考えられる。
 新型の戦車なのでバリエーションはあまりない。T-90E型とT-90S型とが存在するといわれているが詳細は不明。なおインド軍に引き渡されたT-90戦車はT-90Sだった。おそらく、前面の複合装甲が通常装甲になっていると考えられる。


一覧に戻る